気まぐれ女王様3
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朝からシャワーを浴びさっぱりしたルナは、まだ多少残る腰の痛みに眉をしかめながらも、つい先日長い時を経て漸く恋人になったスクアーロの眠るベッドへ腰かける。
「ねぇ、起きなよ」
身体をゆさゆさと揺らすが当の本人は彼女がシャワーへ入っている間にもう一眠りを決め込んだのか、シーツに包まったままである。
「お昼前には出ないと。次の任務は日本なんでしょ」
呆れの念を滲ませて先ほどより強くスクアーロの身体を揺らすルナには、情事の翌朝特有の恋人の甘ったるい雰囲気などまるで理解していない。それは今まで彼女が育ってきた環境のせいもあるだろうし、自由人ながら割かし仕事に対して時間を気にする方という性格の問題でもある。
「ねぇ、起きないと間に合わな…っ」
唐突にシーツから手が伸びて、ルナはそのままスクアーロの腕に抱きしめられた。腰に両腕が強く回されている。
「す、スクアーロ?」
呼べば、ぎゅっと、腕の力が強まり、ルナは息を呑む。
「(まさか、甘えてる?)」
悪い気はしない、どころか良い気しかしない。ぐっと締め付けられるような胸が心地いい。
自分しか知らないこんな一面が嬉しくて仕方ない。腰に回っていたスクアーロの手が背中に回る。ルナも行き場を失くしていた腕をスクアーロの背に回そうとした時だった。
「っ!?」
あろうことか、スクアーロはルナのブラジャーのホックをはずした。驚きに固まるルナをいいことに、スクアーロの手は容易くシャツの中へ侵入し、胸を弄りだす。
「な、…ちょっ……ぁ」
俯いていた顔が上がり、スクアーロの表情が見えた。表情以上に、その真剣な、それでいて男を滲ませた瞳を見た瞬間、もとより赤らんでいたルナの顔が一気に染まる。
「…どうかしたかぁ、ルナ」
スクアーロもそこまで鈍くない。悟っていながらわざとそう返せば、見る見るうちにルナの顔が歪んでいく。顔を赤らめたままなら意味はないどころか、スクアーロにとっては逆に煽るものでしかないのだが。
「――…」
加虐心を煽るその眼差しに、理性が揺らぐのを堪え、ルナの手首を掴み抱き寄せる。
「何か、思い出したかぁ?」
シャワー後の少し水気を含んだルナの髪を耳に掛け、至近距離で囁けば、ルナの華奢な肩は距離を取る為後ろへ引こうとする。
「〜〜ッ!ロン毛!」
苦し紛れにルナが言えば、その珍しい子供じみた暴言にスクアーロは可笑しそうに笑った。