短編・小ネタ

□絶チル(女王夢主)×進撃
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女王様夢主がもし復活じゃなく進撃の世界へトリップしていたら





845年のあの日、人類は思い出した。巨人に支配されていた恐怖を。



「…これはまた、殺伐とした世界にきたものだね…。幸いとするなら、戸籍を作る必要がないことかな」



壁に空いた大きな穴を。そこから次々と入り込んでくる正直直視するのをためらう程に気持ち悪い巨人。逃げ惑う人々の悲鳴。そんな地獄絵図を一瞥し、彼女はただ一言、「興味深いね」とつぶやいた。

胸上までの赤く美しい髪に、宝石のように煌めく赤と黒の瞳。随分目立つ容姿はここではあまりよろしくないだろうから何か対策がいる。様々な事に思考をめぐらせながら、彼女は壁の中へと消えて行った。








その後、兵団は噂でもちきりだった。102期の訓練生の中に、とんでもない逸材がいると。兵站行進、馬術、格闘術、兵法講義、技巧術、立体起動。すべての科目において、どんな難解な課題でも完璧にこなしてみせる優秀な人物。体力や脚力、耐G能力や空間把握能力に優れており、逆に何に優れていないのかわからないくらいに。特に立体起動を得意としており、それは歴代の中でも類はなく、現在最強だとされているリヴァイよりも総合的に、現在においては優れているとされている。



「おいいたぞ…俺、初めて見た」

「待ってよ!わ…す、すごく美人な人だね」

「あれで、あの人類最強より優れてるとか、実感ねぇよなぁ」

「いやいや案外、実際巨人に会えば腰抜かしてションベン漏らすかもしんねぇぜ」



そんな好き勝手な噂話を耳にしながら、彼女はその美しい絹のような黒髪をなびかせて歩く。勿論そんな噂など彼女の興味の対象には入らない。

彼女にとって体力や力の云々は元々もっているものであり、馬や動物には嫌われたが逃げる前に脅す事でことなきことを得た。技巧の分野は得意で覚える事はまるで苦にならなかったし、兵法においてはまるで論外。まあ自分の知識をひけらかした所で訓練生の立場では何にもならない事を知っていて何も口にしなかったのだが。空中での動きや空間把握能力に関しては何を今更、と彼女は声を大にして言いたかった。彼女が現在隠しており誰も知らない超能力において、空中での動きは必須であり、当たり前の事である。

要約すると、彼女にとって訓練生である3年間は、非常につまらないものであったという事だ。



「もうすぐウォールマリアの奪還作戦か…」
(戦う術のない住民を入れるだなんて、馬鹿馬鹿しい。人数減らしだという事を隠そうともしていないね)



人当りも良く、状況判断ができるため、チームワークも抜群。時に喧嘩の仲裁さえするほどに。容姿も相まって完璧すぎて周りも嫉妬する気にもなれないだろう。ただ、評価にはただ一つの留意点として、「目的意識がない」と書かれている事だろう。それはそうだ。彼女の能力をもってすれば、壁の外で生きていくことすら容易にできる。それを周りの人間が知る事はないだろうが。



彼女の興味の対象は、巨人と壁内についてだった。
生殖器が無い理由は?男性が多い理由は?どこから巨人は発生した?人間以外に興味を示さない理由は?人間を食べても、消化されない理由は本当に殺戮?なら体内へ送り込む動作の意義は?そのうなじの秘密は…

そして、現状をまるで打開する気のないような王政。この世界に来て数年、彼女はそれが単に頭が悪いからだとは思えなかった。制度も甘ければ、調査にも二の足を踏む姿勢。頭が可笑しいのか何か理由があるとしか思えなかった。




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