短編・小ネタ
□不安要素は多々ありますが
1ページ/1ページ
退屈な授業が終わり、終礼のチャイムが鳴り響き、クラスメートが半分以上帰って行った頃の放課後。これから部活だというのにあたしの隣の席である仁王は頭を抱えて唸っていた。どうやら紙と格闘しているようだ。そういえばさっき魔お…幸村君が来て何か仁王に紙を渡してたな。原因はそれか。
「何かいてんの?……プロフィール?」
「ばっ……!!見るんじゃなか!」
「え、なに、乙女?」
「返しんしゃい!」
取り上げれば慌てて立ち上がる仁王をヒラリと避け、紙をまじまじと見つめてみた。男にしちゃあまぁ綺麗な字で。あぁ、汚かったら幸村君から制裁が下されるからね。幸村君から渡されたって事は、部活関連で取材されたってとこかな?立海の男テニは有名だし。
「やだよ。なになに…へぇ。ヘタレてない仁王だね完璧に。………いや、そうでもないか。」
怖いもの:化粧の厚い女子、ヤンキー
好みのタイプ:怖くない女子
「(所々ヘタレが垣間見える)」
てゆうか怖いものがヤンキーって何。あんたの髪の色を直してから言え。見た目ヤンキーはあんただ。中身ヘタレだけどね。
「も、やめ。恥ずかしか…」
「…ねぇ、これ間違いなく魔王様に制裁下されるよね」
「!?」
「なに、大丈夫だとでも思ってたの?むりむり魔王様は完璧主義だからあんたのヘタレの校外流出は認められないでしょ」
「なんで…これでも頑張っ「書き直してあげようか?」………か、神様!!」
目尻に涙を浮かべながら嬉しそうな顔をする仁王にちょっとときめいたとかは言ってやんない。鼻で笑って見下すのがあたし。
「跪づけ、崇めろ、奉れ」
「それは跡部の所じゃ」
「えーと…好きなものは、少女漫画」
「ぎゃああああすまん!俺が悪かったきに!」
あたしに意見するなんて100年早いよ。好きなタイプは、と。
「"かけひき上手な人?"」
不思議そうに聞く仁王に肯定の返事を返す。だってあんた詐欺師とかって言われてんでしょ?これならイメージも保たれるし魔お…幸村君の制裁も免れるだろう。
「で、でも俺が好きなんは…!!」
「?」
「〜〜〜〜〜ッ!!!何でもなか!」
首を傾げて、上目遣いで見上げると言葉に詰まった仁王は紙をひったくって教室から走ってでていった。何?わざとに決まってるじゃん。異常に赤かった仁王の顔と耳を思い出せばクツクツと笑いがこぼれる。ヘタレってからかうと本当に面白い。
仁王が慌てて戻って来て礼を告げた事にあたしが大爆笑するまで、後10秒。
不安要素は多々ありますが
(い、言えん!!"好いとう"なんて…!!)
(さて、次はどうやってからかおうかな)
この後部活に遅れた仁王は結局魔王様から制裁を下されてたり。
――――――――――――――――――
管理人はヘタレ仁王が大好きです。しかしヘタレてない仁王も好きです。急に書きたくなった品でしたすみません!主人公ちゃんは外では魔王、中では幸村君と全くあべこべ。わざとです。"跪づけ崇めろ奉れ"はてにみゅネタですすみません。