「どうして…」
「話す訳にはいきません。話す訳にはいかないっ」
やっと少しずつだけど、笑ってくれるようになったんだ。
あのことを思い出して、傷つくラクスを見たくない。
シンは抱きついているラクスを強く抱きしめた。
「シン?…!?」
ラクスはシンの顔を見ようと顔を上げるとその視界に入った人物に驚く。
「い…ゃ…嫌ぁぁぁぁ――――!!」
「ラクスっ!!」
キラ達を見るなり、ラクスは暴れ始めた。シンはラクスが逃げないように更に抱きしめる腕に力を入れる。
「ラクス、大丈夫だから…大丈夫だから!!」
「来ないで…いゃ…ぁ…」
そんな二人をキラ達は見ているしかなかった。
キラは黙って見ていることしか出来ない自分に歯がゆさを感じていた。
「ルナっ!!どうせ車で来たんだろう。店の前に車持ってきてくれ」
「あ…うん、分かった」
シンはルナマリアを見送り、ラクスを落ち着かせる為、言葉をかけ続ける。
「大丈夫。俺いるから…ラクスを守るから。何も怖いことなんてない」
「………」
少し、落ち着きを取り戻し始めたラクスにホッとしたシンは近くにいるレイに視線を向ける。
「レイ、明日から頼むわ」
「わかった」
レイは分かっていたみたいに頷く。
その時、車を取りに行っていたルナマリアが戻ってきて、キラ達を置いて店から出て行った。
残されたキラ達は只、見送ることしか出来なかった。