text「小品」

□青∩赤
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「汚れてもいいじゃない」
耳元で囁いたのに。
「ダメだ・・・明日は洗濯できない・・・」
熱を逃がすように、ふうっと息を吐いてシンタローが答えた。
人に知られるのを嫌うのは分かるが、妙に所帯じみていて、私は苦笑した。
「大丈夫。パパが代わりに洗濯しておいてあげるよ」
私の返答に、シンタローの動きがしばし止まったものの、答えはそれでもNOだった。
「・・・・・やっぱ、ダメ・・・」
「どうして?」
極めて優しく問いかける。
耳にかかる息から逃げるように、シンタローは身をよじって、私を見た。
疎ましそうに睨んでいる。しかし、その上気した頬はたまらなく可愛いいと思う。
「アンタ、変態だから。・・・洗わないでとっておきそう・・・・」
もう!なんて色気のないことを言うの!お前は!

・・・で、どうして、わかっちゃうのかな?

「・・・・・」
私が無言だった為に、シンタローは自分の予測が間違いではないと確信したらしい。私を見る眼つきが鋭くなっていく。
「やっぱり・・・アンタ、最低だ」
また、そういうことを。
でも、お前、分かってないね。
お前の一番敏感な処は、まだ、私の手の中だよ。
私は止めていた動きを再開した。
「やっ・・・!」
途端に、シンタローはびくんと体を強張らせた。
もう、お前の言うことなんか聞いてやらない。だって、私はお前が欲しいんだもの。
そして、今、その体は十分に
シンタロー自身の蜜でそれは濡れて、滑らかになり、扱く手が早く、強くなる。
「あ、あ、あ、」
私自身もまた、後ろから彼の間に差し入れて突き上げる。
入れているわけではないが、腿の内側の、しっとりした皮膚の感触が、私を十分に高める。
濡れていく。
汗ばんだお互いの肌が吸いつくように重なる。
「・ああ・・・・」
一瞬、強く絞り、緩めると、ついに溢れ出した。
その声を聞いて、私もまた、達する。

抱き締めた裸身が熱い。
生きていると思う。
自分の、この腕の中のものは自分のものだと思う。
離したくない。
離せない。
溶鉱炉の熱さと鋼鉄の硬さを感じている。
見ているだけでは足りないのだ。
触れたい。
溶け合いたい。
眼を閉じても見える灼熱の光で、私を焼いてほしい。
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