text「小品」
□青∩赤2
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たまに俺は洗濯をする。
本当は、身の回りの事ぐらい、全部自分でやりたいし、できるわけなんだが。
組織のトップに、家事労働までこなす時間はないし、そちらにかまけて、団員に迷惑をかけるわけにはいかないのだ。
ごうんごうんごうん・・・。
ドラム式の洗濯機の透明の窓から、洗濯物が回転しているのが見える。
優秀な機械は放っておけば、脱水までしてくれるから、その間に部屋の掃除をすれば・・・と思うのだが、回転するそれを眺めていると、なんだか目が離せなくなった。
別に面白いものでもなんでもないのに。
「他に用事もないしな・・・」
なんとなく、そのまま、ぺたりと床に座る。
真っ白なランドリールームは静かで、動作音だけが響く。
今日は、親父はいない。
俺の休日には必ずスケジュールを合わせてくるが、今回の休みは急だったので、調整が間に合わなかったようだった。朝食の席で、グンマやキンタローがいるというのに、
「シンちゃん!パパ、夕方には帰ってくるからね!ね!一緒にご飯食べようね!絶対だよ!」
などと、しつこく言われた。
二人は慣れたもので、キンタローは無言、グンマはニコニコ笑っていやがる。
冗談じゃない。
眼魔砲をぶっ放してしてやろうと思ったら、いきなり、目の前に奴の小指が現れて、
「約束♪」
と、奴が笑った。
「・・・・・」
チッ。上手い事はぐらかしやがって・・・。