text「小品」

□青∩赤
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「いつから」だって?
・・・生まれた時からだよ。

正確には、あの子に初めて触れた時から、かな。
・・・一目惚れじゃないのは残念だけど。
しかたないよね。
あの頃の私は、ホラ、今とは違ったから。

あの子に出会って、あの子がいて、今の私がいるのだから。




「息子に触る」のが大好きなんだ。
離れていると、辛くなるぐらいに。
だから、ついつい人形が増えるわけなんだけど。
シンタローがそれを嫌っているのは知ってるよ。
でも。
私は、あの子ほど強くないんだ。
見えなくても触れられなくても信じていられるあの子の強さを、私は、とても羨ましい。

ああ!
もちろん、私は息子を信じているよ!
当然じゃないか。
でもね。
私は・・・・。

いや、やめておこう。
これは、こんな私情は、言ったら父親失格だから。

・・・・・・・。

でも、渦巻く感情を、どうしても止められない時がある。


私は、あの子を私のいく世界に連れて行きたいわけじゃないんだ。
闇の底の、あんな暗い世界に。
私が堕ちるのは分かっている。
そんなのは構わない。

ただ、あの子が私の知らない世界で生きていく、ただそれだけが苦しい。


「・・・・・ちょっ・・・ん・・・。もう、ダメだって・・・。バカ、そんなトコ、触るな・・・」
ベッドの中で、シンタローが、身をよじった。
先ほどまでの熱が冷めて、私は背後から、シンタローの裸身を抱きしめていたのだが、無意識に撫でさすっていたらしい。
再び、その肉体が熱を持ち始めていた。
「・・・オイ。マジで止めろって。明日も仕事あるんだから・・・」
そう言いつつ、シンタローは枕に顔を突っ伏せたまま、特に抵抗はしなかった。
「このままの方が辛いんじゃない?」
私の手の中のものは、硬度を増している。
先端を指でなぞると、そこは濡れていた。
「・・・ぁ・・・」
くぐもった喘ぎが漏れる。
私は彼を扱く手を強める。
「・・・ぁぁっ・・・ダメ・・・」
抵抗できないくせに、と思う。
「何がダメなの?これじゃ足りない?」
「違うっ・・・!あ・・・ヤダ・・・。待て・・」
シンタローが身を起こそうとした。
もちろん、そんな事をさせる気はないから、もう片方の手を奥へと差し入れた。
袋の奥の何もない、しかし敏感な部分をなぞる。
「・・・はぁっ・・・!だから・・・あ、マズイって・・・」
腰の力はすっかり抜けているのに、まだ、シンタローは、ぐずぐずと文句を言っている。
「・・・も、出る・・・」
「いいよ。出しちゃってよ」
シンタローは、言葉にならないのか、ふるふると首を振った。それから、小さく。
「・・・・汚れるから、嫌だ・・・」
「・・・・」
私は、一瞬、答えに詰まった。
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