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□ハイタッチ
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「嬢ちゃん、ハーイ!」
「はい!」
「胸に飛び込んでおいでー!」
「それはちょっと……」

戦闘後のお決まりともいえるこの光景、ハイタッチ。エステルが随分気に入ったようで、仲間とよく交わしている。いまだにレイヴンとはしたことはないが。
遠慮しますとエステルが断るとがくりとレイヴンの肩が落ちた。毎度同じ反応しか返ってこないというのに飽きはしないのだろうか。何度も見る光景をたぬたんはじっと見つめた。

「レイヴンのあれ、1回も成功しないね」

近くにいたユーリにそう言うと、彼は顔を上げて苦笑した。

「良いんだよ、あれはあれで本人が楽しんでんだ」
「ふーん……何か寂しいねぇ」
「哀愁漂うおっさんか?」

たぬたんに耳打ちすると、彼女は小さく笑った。

「おじさんは寂しいと死んじゃうんだって」

たぬたんはレイヴンに駆け寄った。何をするのだろうとユーリはそちらを向く。彼女は「レイヴン!」と声を掛けた。

「エステルにやったのと同じこと、私にもやって」

レイヴンは「へ?」とすっとぼけた声を発したが、催促するたぬたんに圧倒され左手を上げた。

「たぬたんちゃーん、ハーイ!」
「はーい!」
「胸に飛び込んでおいでー!」

同じように断りを入れるのかと思ったら。


「はいっ」

案外長身のレイヴンにたぬたんは抱きついた。初めての出来事だったものだから仲間達は驚きを隠せない。
飛び込まれたレイヴンは茫然と左手を上げたまま。端から見たら些か滑稽だ。ゆっくりその状況を理解し、腹部に腕を回している少女の頭を見た。

「……え?たぬたんちゃん?」

たぬたんは上を向き、笑った。

「いつものやり取りに切なくなったら私にして。いつでも飛び込んであげるよ!」
「たぬたんちゃん……!」


ひしっ

レイヴンは目に涙を溜め強くたぬたんと抱き合った。リタは引きつった顔で2人を見る。

「何?たぬたんってまさかおっさんのこと……」
「いや、多分違うだろ」

彼女の言わんとしたことを瞬時に理解したユーリは素早く否定した。

「微笑ましいですね。まるで親子のようです」

たぬたんが彼のことをどう思っているのかはまた別の話として、この日からレイヴンは小さな癒しを手に入れたのだった。


たぬたんちゃーん!

はーい!


ひしっ

fin


TOVキャラではユーリとレイヴンが1番好き。
ユーリは考え方・セクハラ・甘党が、レイヴンは2つの顔を持ってるところ・口調・性格・いい加減な詠唱がそれぞれ良し。
てか、おいさんの中の人が三成……プレイ中何度笑ったことか

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