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□妹の苦難
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「兄さんッ!もう、いい加減にしてよッ!!」

「あー…何が?」

兄さんの適当な態度に私はカチンときた。
本当は分かってるクセに…

「…何が?じゃないわよ!また、借金取りが兄さんを探してうろついてるの!」

「え〜…マジかよ」

「早く何とかしてよ!」

「えー?俺がか!?」

「当たり前でしょ!?」

私は、椅子に呑気に座っている兄さんを無理矢理立たせた。

「む…ムリムリムリムリ!!俺パス!」

「パスじゃないッ!とっとと追い払ってきなさい!」


バンッ!


私は兄さんを外に追い出した。

「…ッおい!何すんだよ!!」

兄さんはドアを必死にドンドン叩くが、絶対に入れてやらないんだから!
しばらく放っておくと、ドアを叩く音が止んだ。
どうやら、諦めたようだ。

「……ふぅ…」

マーシャは溜め息を吐いた。

…何で、兄さんはああなってしまったのだろうか…

兄さんはたまった借金を返すどころか、どんどん増やしていって…
時々、借金取り達が兄さんから金を取りにやってくるのだ。
全く…妹にとっては迷惑な話だ。

「…兄さん、ちゃんと行ってくれてんのかな…」

少し不安になり、兄さんの後を追う事にした。

「(…念のため、武器を持って行っておこう…)」

立て掛けてあった槍と剣を持って、天馬に飛び乗った。




「あれ…?」

借金取り達は見つけたが、兄さんの姿が見当たらない。

「…まさか!逃げ出した!?」

兄さんの事だ…そうに決まっている。

「全くもうッ!」




「…借金取りを追い払えなんて、無理な話だよなー?」

マカロフは、呟きながら歩いていた。

「…もういっそ、このまま借金取りから逃げ出しちゃおっかなー♪ハハハッ!」

「だーれが逃げ出すだって?」

「えぇ?そんなん決まってるっしょー!俺が、アイツらから逃げるんだよ。アイツらが追ってこられないような場所にな……って、え……?」

マカロフは、嫌な予感がして振り向いた。

「ふーん…俺達が追ってこられないような場所にか…」

予感的中。

マカロフの後ろにいたのは、借金取りだったのだ。

「…ヤベ」

マカロフは、とっさに走り出した。

「逃がすかよおッ!!」

ブンッ!!


借金取りは、手に持っていた斧を振り上げ、マカロフに向かって振り下ろした。

「うわ…ッ!?」


ザクウッ!!


間一髪で避けることができた。

アレに当たっていたら…

そう考えただけでも、ゾワッと背中に冷たいものが走った。
今のマカロフには、武器になるものは一つもなかった。

とにかく今は逃げなくては…

「(…クソッ!こんな事になったのは、マーシャのせいだ!)」

走りながらマカロフはマーシャを恨んだ。

…と、

マカロフは足を止めた。
目の前には…壁。
そう…行き止まりだ。
後ろを振り返ると、斧を持ちながらニヤニヤと笑う借金取り。

…ってか、人数増えてね?

今は“借金取り達”の方があってるかも…

「ヘヘ…金が返せねぇって言うんなら…此処で死んでもらうしかねぇなぁ?」


ゴクリ…


マカロフは唾を飲んだ。
あぁ…俺はもう此処で終わるのかなぁ…
へへっ、ごめんなマーシャ…こんな兄で…今更謝ったって、意味ないよな…
だって、マーシャは此処にいないんだから……
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