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□新たなる未来
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…僕は、"印付き"であるために成長がべオクより極めて遅い。
何年経っても、何十年経っても、僕は変わらない。
変わっていくのは、周りの景色…そして、仲間達。
どんどんみんながいなくなってしまうんだ。
僕を置いて、遠く逝ってしまうんだ。
そして、彼も…僕の一番に信頼していた彼も、ついに…――――
僕の周りには、本当に誰もいなくなってしまった。
僕は、孤独になってしまった。
「…アイク」
彼の墓の前にしゃがみ、その名をそっと口にした。
手に持っていた花を添え、目を閉じた。
アイクとの思い出が次々に溢れては、消えてゆく。
そんな思い出と共に、僕の目から涙が流れてきた。
…止められないんだ。この"寂しい"という感情を。
…抑えきれないんだ。この孤独感を。
これでは、昔の自分と同じだ。
また、振り出しに戻ってしまったのだ。
僕はまた、ひとりぼっちになってしまったんだ…
「…何故、泣いている?」
「………え?」
突然、背後から声がした。
ゆっくりと振り返ってみる。
…ああ、この人は確か…――――
「…何故、貴方がここにいるんですか。…ソーンバルケさん」
ソーンバルケ。
グラーヌ砂漠にある隠れ里で暮らしている、僕と同じ"印"を持つ人だ。
「ある用事があってな。…偶然ここを通りかかったら、見覚えのある姿を見つけて、付いて来てみたら…やはり、君だったか」
ソーンバルケは、僕を見て微笑んだ。
だが、僕は笑わなかった。
寧ろ、彼を睨みつけた。
「貴方とは…もう二度と逢わないと思っていました」
「冷たいな。何故だ?私は、君の仲間だ」
ソーンバルケの言葉に、僕はピクリと反応した。
「仲間…ですか。その言葉、気安く使わないでください。僕は…アイクしか、グレイル傭兵団の人達しか仲間と認めない!!」
僕はハッキリと言い張った。
だが、ソーンバルケは余裕な表情でこう言った。
「ほう。ならば、その仲間は今、何処にいる?」
「ッ!…そ、それは…」
痛いところを突かれた。
僕は何も言えず、俯いた。
「…お前は、ひとりなのだろう?なら、私の暮らす里に来ればいい。そうすれば、お前は二度とひとりになることはない。…そうだろう?」