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□振り返る、重なる過去
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「パメラ!」
「お父さぁんッ!!」
ギブドになりかけていたパメラの父親の呪いを解いたリンク。
娘であるパメラを抱き締める彼を見て、リンクはふと昔の事を思い出した。
―――今は亡き、デクの樹サマとの思い出を。
「グスッ…デクの樹サマ…」
『おぉ…どうしたのじゃ、リンク』
「…何でぼくはみんなと違うの?何でぼくには妖精が来ないの…?」
『…リンク。それはまだお前に、その"時"が来ないだけじゃよ』
「…その時って、一体いつなの?」
『それはワシにも分からん…じゃが、リンク。これだけは、忘れてはならぬ』
「…?」
『お前は、ワシの大事な"息子"じゃ。お前は他の皆と同じ、コキリの森の住民であって、お前は皆と同じ、"仲間"なのじゃ』
「…デクの樹サマ…」
『じゃから、そう自分を責めるでないぞ』
「………うんっ!」
―――――………
『…リンク?』
パメラ親子を見つめたまま動かないリンクを、チャットは心配そうに覗き込んだ。
「……え、何」
『どうしちゃったのよ、ボーッとしちゃって』
「…いや、ちょっと昔の事思い出しちゃって…」
『もう!そんな事してる場合じゃないでしょ!!』
「………そうだね」
チャットの言うとおりだ。
過去の思い出に浸っている場合ではない。
今のおれには時間が無いんだ。
「…行こう、チャット。ロックビルへ!」
『オッケー!さっさと巨人を解放して、トレイルを助けるのよ!!』
…もう、過去を振り返らない。
守るべき者の為に、前に進まなくちゃ。
リンクはそう決心して、オルゴールハウスを飛び出した。