★MGS小説

□2週間
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ダイニングテーブルに料理を並べ、俺たちは食事をとる事にした。
白い皿に料理を取り分け、一口食べる。
食べてわかった。スープは普通に食える程度に仕上がったようだが、ミートパイはさっくりと焼けずに失敗してしまっていた。
「美味しいわ、あなた料理なんてできたのね」
「……無理しなくていいんだぞ?」
少し気まずい空気を味わいながら向かいに座るパラメディックを見ると、彼女は悪戯っぽく微笑んで赤ワインの入ったグラスを手に取り、一口飲んだ。
「無理なんてしてないわよ……蛇や蛙の丸焼きでなくて良かったとは思っているけどね?」
彼女の優しさに、思わずつられて笑ってしまった。
「蛇や蛙の丸焼きだなんて……さすがにそれなら蟹料理の方がマシなんじゃないか?」
こういう時、パラメディックは表情が豊かだ。俺の提案に、すぐに顔色が変わった。
「スネーク……私、休暇後の診断書はまだ書いていないのよ?」
「そのまま長期休暇に突入させる事もできるってわけか」
「この家で蟹料理なんて作るのは得策とは言えないんじゃない?」
冗談めいた口調で返し、穏やかな目で俺を見て言った。
ラジオからは流行りの曲が流れ、向かいにはパラメディックがいる。
つい先日の体験が夢の中の出来事に思えるほど穏やかな時間に、俺は無意識に安堵の溜め息をついていた。
彼女の家に来たのは、正解だったかもしれない。
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