★MGS小説

□グラビアガール
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思春期真っ只中の中学生じゃあるまいし、なんで僕はこんな目に遭っているんだろう。
メールをチェックしたいって言うから端末を貸したらとんでもない事になった。
「ふーん……オタコンでもこういうの、見るんだ?」
メイリンの見ている液晶モニターには、水着を着た東洋人の女の子のグラビア写真がでかでかと表示されている。
どれも煽情的な魅力あふれるポーズの写真ばかりだ。
明らかに分が悪い……僕は子供じみた言い訳しか思いつかなかったが、仕方なく続けた。
「例の偽装タンカーに潜入した時とかにスネークが撮って送ってきたんだよ……僕の反応を見てからかおうとして……」
一応、本当の事だ。
僕はうしろめたさから視線を逸らしたが、彼女は許してくれなかった。
「……オタコンって、こういうのがタイプなの?」
悪戯っぽい笑い混じりの声でさらに追求してくる。本当に人が悪い。
ベッドの下に隠していたグラビア雑誌を家族に見つけられたような気まずさが漂った。
「削除するの、忘れてただけだよ」
「本当に?」
「あ、ああ……本当だよ」
彼女の視線に耐えかねて窓の外を眺めながらコーヒーを飲んで落ち着こうとしたが、あまり効果は得られなかった。
メイリンの視線が気になってちらりと横目で見たらいつのまにか彼女は僕の隣に居て……僕は着ていたコーデュロイ素材のジャケットの襟を掴まれ、引き寄せられ――キスされた。
「……グラビアの女の子は触ることもキスする事もできないわよ?」
久しぶりのキスに面食らっている僕を見ながら、彼女は小悪魔じみた笑みをばら色の唇に浮かべた。
勝ちを確信している顔だ。
ホントに始末に悪い。
「……覚えておく事にする」
負けをすんなり認めて降伏すると、彼女は満足そうに笑って僕から離れた。
東洋人の女の子のグラビアに興味が湧いたのは、グラビアの美女がちょっと君に似ていたからだよ……なんてさすがに言えるはずもなく、僕はおとなしく椅子に座り、仕事の続きを始めた。

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