★MGS小説

□患者の見解
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考えてみれば女と一緒にシャワーを浴びるのも久しぶりだった。何度も抱き合ってすっかり汚れた体を清め、濡れたままシーツの間に潜り込むと、パラメディックは俺の髪をくしゃくしゃと撫でた。
「おい、やめろよ」
「短い髪もなかなか似合うわね。玄関で見たとき、見違えちゃった」
コロンビアでの監禁生活で伸びきっていた髪と髭は、退院した後すぐに整えた。彼女に見せるのは確かに今日が初めてだった。
「休暇中とはいえ、いつまでもだらしない格好だと女性にも呆れられそうだしな」
「休暇中なら、きちんと通院しなさい」
検査と診察をサボった事を思い出したようだ。俺は内心、舌打ちした。
「明日の昼過ぎに予約を入れておくわ。必ず来るように」
「了解」
どうせ買い物に行こうと思っていた。ついでに寄ればいいだろう。返事をして抱き寄せると彼女のうなじからシャワーの後に使ったタルカムパウダーの柔らかい香りがして、なんとも言いがたい満足感が俺の体を満たしていった。
昼間あんなに眠ったのに急に睡魔が襲ってきた。うとうとし始めた俺の髪に彼女がキス落としてくれた気もするが、確かではない。
目覚めると横に彼女はいなかった。
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