★MGS小説

□患者の見解
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こんな事なら、勢いでも構わないから適当な理由をつけてあの時に手をつけておくべきだったのかもしれない。あの頃好んで持ち歩いていた雑誌のグラビアガールより、よっぽど魅力的だ。
試してみたのはこれが初めてだったが、口での奉仕の快楽はなかなかのものだった。
俺の起ちあがったそれに丁寧に舌を這わせ、時折俺の様子を見る彼女の姿は可愛らしく思えた。手を使っての愛撫と違い刺激は少ないが、扇情的な奉仕中の光景に、俺は心を躍らせた。
「なんでも飲み込みが早いんだな、先生は……さっき教えたばかりだってのに」
素直すぎる態度に、つい辱めるような事を言ってしまった。パラメディックは言葉を聞いてちらりと俺の様子を伺うように見たが、特に気にする風でもなくそのまま奉仕を続けた。
深く飲み込むと、座っている俺の膝に彼女の胸が押し付けられ、そのまま柔らかく形を変えた。本当に下らない事だが、怪我を負ったばかりのせいで足の感覚がいまいち鈍いのが悔やまれた。本来なら暖かい彼女の体温が伝わってくるはずだ。
「要領の悪い女の方が好みなの?」
俺が教えた事を応用し、咥え込んだままじっくりと吸い上げるようにして根元から先端へと唇を滑らせ、辿りついた場所を舌先でねぶりながら訊く。生意気な口を利く気力はすでに失われていた。
「強いて言えばどちらも好み、かな……」
溜息を吐くように力ない声しか出せない。何度も乱暴に扱ったせいでくしゃくしゃに乱れてしまった赤い髪を手で梳いてやると、彼女は俺自身から手を放し、気持ち良さそうにふっと吐息を漏らした。
そのまま指の甲で柔らかい頬を撫でると、目を閉じた。まるで猫が主人に懐いているようで、つい口元がにやけてしまう。
「それは良かったわ」
どこか恍惚とした顔のまま立ち上がり、俺の肩に両手をついてそのまま体重をかけた。自然とソファーに組み敷かれる体勢になる。
「怪我、つらいでしょう?……まかせて」
俺の体に跨り、治りかけの胸の傷跡にキスをした。彼女の配慮にまかせ、俺は眼を閉じて全身から力を抜いた。
目を閉じると嫌でも他の感覚が研ぎ澄まされる。硬くなったそこに彼女が触れ、導かれて暖かい場所へ辿りつくまでの感触は今までの経験と比べても生々しい感覚として俺の中に残った。
目を開けると、動かない俺の上でゆっくりと揺れる女のシルエットが映った。蠢く腰に手を沿え、滑らかな曲線を描くボディーラインを辿ると微かな嬌声が部屋に響いた。
もう夕暮れだ。レースのカーテンで遮られた柔らかい日差しも夕闇に飲まれつつある。薄暗い部屋のせいなのかはよく分からないが、彼女の行動は次第に大胆になっていった。
唇を引き結び殺していた声を開放し、体を動かして繋がったままのそれを自らの体から引き抜き、腰を落として再び中へと誘う。
普段は冷静な彼女の乱れた息遣いを聞きながら、俺は幾度目かの絶頂を迎えた。
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