鴉達の輪舞曲

□第二章―――『力量・疑問』
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「ん?見たことねぇ顔だな。新入りか?」
「あ…あぁはぃ。名前は…」
「言わなくていい。元からこんな職業だからな。あとな、ここは通路が狭いから、なるべく扉とは反対側を歩かねぇと俺みたいになるから気をつけろよ、と」
「ありがとうございま…す?」

「(…ん?
こいつは…もしかして…?)」

「あの…ゲイル…さん?」
「ん?なんで俺の名前を知ってんだ?お?俺も有名になったか?♪」
「いやいやいや、気づかねぇのかよ…。俺だよ俺、閃!!文月 閃!!」
「ん?お?おぉ、閃か!!だいぶデカくなった…か?」
「うるせぇよ!!どうせ俺は小せぇよ!!」
「ん〜まぁ気にすんな。身長なんか人生においてさしたる意味を持たねぇぞ、と」
「………。なんか言いくるめられてる気もするが…まぁいいや。とにかく久しぶりだな、ゲイル兄ぃ♪」
「おぉ♪元気にしてたか?」

そう言って青年は、閃の頭をガシガシと撫でた。



彼の名は、「ゲイル バーゲスト(Gale Barguest)」。
さしずめ、閃の兄貴分…と言ったところである。

閃は少年時代の大半を彼と共に過ごした。互いに競い合い、上を目指した過去は、閃にとってとても大事な思い出となっている。

そして先にレイヴンになったのは、5つ年上のゲイル。
彼は即座に腕を上げ、今では多少名のあるランカーの一人となった。



彼の駆る機体の名は、『CERBERUS』―――通称、「地獄の番犬」。

その名の通り、黒に黒紫色のコーティングをした重量4脚。
武装は右腕のレーザーライフルと左腕のパルスライフルに加え、エネルギーEOを使用。更に両肩にスラッグガン、インサイドにナパームロケットを搭載し、巧みに使いこなすその戦闘スタイルは正に、二つ名の通りである。



「そうか…お前もとうとうレイヴンか…」
「ん?どうした?」
「いや、なんでもない。まぁ、頑張ってやっていけよ、と」
「? まぁ、そりゃあ頑張るけどさ…」
「ん、それでいい。俺はこれから行く所があるからな。もう行くぞ、と」
「あぁ。じゃあ、また。どっかで会おうな♪」

そう言って二人はそれぞれ別の方向へと歩き出した。
それぞれが、それぞれの思いを持って…。
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