コインロッカー☆ベイビー

□ぷろろーぐ
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林の指差した先。
ほ乳瓶とオムツの入っていたロッカーの中には、またもコインロッカーの鍵があったのだ。
真上にあたる、35番の鍵が。

「アホらし。粉かなんかのミルクでも入っとんのとちゃうか」

などと言いながら、林が手のひらに乗せた鍵をさっさと奪い、35番のロッカーを開けた。

「ほ乳瓶とオムツが入っとって、その上に赤ん坊でも入ってたら笑ろてまいますな」
「……おい」
「まあ都市伝説やら漫画やないですし、龍司はんの言うた通りミルクでも入っとるんやろけど」
「……おい林」

35番のロッカーの中は、林の視点からは見えない。
図体のでかい龍司の背中が邪魔をしているからだ。
しかし、控えめに林を呼ぶ声は、いささか震えていた。

「……これは何や」

龍司が体を少しずらすと、そこには。

「……なんちゅう都市伝説やねん」

それはそれは小さな赤ちゃんが、すやすや眠っていた。
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