夢小説
□携帯(別バージョン)
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弘樹が風呂から出ると、野分がテーブルに肩肘をつきながらウトウトとしていた。
ふと見ると、携帯電話が開きっぱなしになっている。
…また?呼び出し?それとも……?
弘樹は、ここ数日の、モヤモヤした気持ちを整理する。
→野分は忙しい
→でも携帯はいじってる
→楽しそう
→病院からではなさそう
→メル友が出来た?
→メル友…ではなく彼氏か彼女?
→(俺に)飽きた………………
……いや、待て自分。ちょっと短絡的だ。
そう、浮気…ではないと思う。
だって他に変わったことは別段何もないのだから。
ただ…なんだかコソコソしている気がするんだよな。
そっと起こさないように近づく。開いてるから見えてしまっただけだ、決してチェックじゃねえ!!
俺は自分に言い訳しながら、野分の肩越しから画面を覗き見る。
…俺は絶句した。
フリフリエプロンを付けて寝ている…俺の画像だ!
こいつ、俺が酔っぱらってる間に…!!
よろけた拍子に音をたててしまう。
野分がハッとして振り向いたが、すぐにいつもの穏やかな顔に戻る。
「ああ…見られちゃいましたね」
…なんでそんなに爽やかなんだ?
「約束どおり、誰にも見せてないですよ。俺だけのヒロさんですから。」
…俺、どんな約束したんだろう?
「ヒロさん…そんな格好で…誘ってるんですか?」
「えっ?ちっ、違っ…!!」
…そのまま押し倒されて…。
結局、野分は写メを見ていただけのようだ。
ハッキリ聞く前に、思考能力を奪われてしまった。
この話題をこれ以上続けたら、俺が削除してしまいそうだから、野分はこのまま、うやむやにしたいのかもしれない。
とにかく、今夜も俺の完敗だった……。
終わり