夢小説

□野分の想い
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吐息をたてているこの人を
起こさないように
俺は帰ってくる
待っていてくれたと
一目でわかる部屋を見て
俺は安心する

家はここなのだと
帰る場所はここなのだと
ここに帰っていいのだと
この人に愛されているのだと
この人を愛していいのだと…

「ヒロさん…ただいまです…」
「…ん…」

よく眠っているようなのに
呼べば返してくれる

手を握れば
握り返してくれる

無意識に

愛しいヒロさんに
俺は口づけする

ヒロさんの口元がほころぶ
寝ているのに
分かるのかな

俺にキスされて嬉しいですか
俺は側にいていいですか
ずっとこのままでいいですか
人並みの幸せをあげられない
でも俺はあなたを手離せない
ずっと俺のものでいてください
そのはにかんだ笑顔は俺だけに見せてください
その艶っぽい肩や腰のラインを誰にも見せないでください
もちろん紅潮したあの色っぽい表情も…

ソファーで寝ている
愛する人の横でひざまずき
祈るような気持ちの俺の前で
あなたは欲しい言葉をくれる

「…あ…おかえり…」

「…ただいまです。起こしちゃいましたか?」

「会いたかったからいいんだ…ってか、起こせって言ってるだろ…」

ヒロさん、ありがとうございます。
俺に会いたかったと言ってくれて
俺を待っていてくれて
俺を必要としてくれて
俺に愛情を教えてくれて
俺と家族になってくれて

あなたを愛しています……
言葉で伝えきれないから
ありったけの想いを込めて
抱きしめさせて下さい……。

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