夢小説

□日常
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「よしっ、チャチャッとやるか」
弘樹は、部屋の隅に重なっている本の整理を始めた。

野分は、さっき夜勤から帰ってきて寝たばかり。
ゆっくり寝かせてやるには、俺がいない方が静かなんだろうが、あいつが起きた時に側にいたいから…。

そして、もうすぐお昼という頃に、野分があくびをしながら起きてきた。
まだ眠そうだけど…もう、いいのかな。こっちの片づけももう終わる。一緒に昼食を作る?食べに行く?
俺は後ろを気にしないフリで、手を休めず「おはよう」と声をかける。

「おはようございます。あ…俺、手伝いますよ」
そう言いながら、野分は弘樹のうなじを撫で上げる。

ぷるっ…
野分にちょっと触れられただけで感じてしまうなんて、俺は、いつからこんな身体になってしまったのだろう。
いつから…思えば初めて会った時から、視線で襲われれていた気がする。
あいつの瞳は、真っ黒でつやがあって…いつも俺をじっと見ていて…見つめられて…。

「何すんだよっ」
振り返ると、野分が顔をしかめている。

「ヒロさん、なんで髪の毛を後ろで束ねてるんですか?」
「え?…ああ、暑かったからだけど」
「ヒロさんは、首から肩のラインが綺麗なんですよ。俺以外に見せたらダメです。」
「はぁ?おまえ何言って…」
俺は照れて右手を振り上げるが、野分は左手で受け止め、右手で俺をぐっと引き寄せた。
「!」
野分の顔が急に近くなって、それだけでドキドキする。
「いいですか、ヒロさんは可愛いんですから、無防備なことをしちゃいけないんですよ」
――こいつ、大真面目でこういう事を言うから天然だっつーんだよ――

ニコッと笑った野分が、俺にキスをする。挨拶のキス。唇を吸いあうキス。舌と舌を絡めるキス…。
その漆黒の瞳で…俺を見るな…吸い込まれる……。

野分の手がスッと伸びて、俺のジーンズの中に入ったかと思うと、指が絡みつき、揉みしごきだす。
「あっ…ん……」
何日かぶりの愛撫に…自身が張りつめていく。

「ヒロさんも…欲しいですよね?」
その問いかけに、俺は小さく頷いた。
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