夢小説

□台風
1ページ/1ページ

俺がソファーで本を読んでいると、背中に気配を感じ、手が伸びてくる。

…野分だ。
いつものことだから、かまわずにおく。
だって、この本、すごく面白いし。ちょっとくらい待ってろってんだ。
読み返してる本なら…まぁ閉じて振り返ってもやらないこともないが。

「ヒロさん…俺、すごく疲れてて…ちょっと寝たいんです。」

はぁ?じゃあ、とっとと寝ればいいだろ?

俺が無言でいると、

「でも…今夜は風が強くて…。側に…いてくれませんか…?」

その言葉を聞いて、俺はすぐに本を置く。

「…ちょっとだけだぞ」
「はいっ」

……案の定、ベッドに入った途端にコテッじゃねーか。

でも、台風みたいな夜にだけ、野分は甘えてくる。

野分の弱い部分。
多分無自覚。

この時だけは、口はどうにもならないが、
態度だけは素直にして、こいつを甘やかせてあげたい。

俺がいるだけで、こんなに安心してくれる。

こいつの側にいるだけで、温かい気持ちになるのは何故だろう。

で、結局、離れがたくて一緒に寝ちゃうんだよな!

いつ呼び出しがくるか分からないんだしさ…。
こいつの体温を感じながら、やっぱり今日も寝てしまおう。
俺だって、こいつの可愛い寝顔のおかげで、
いい夢が見られるに決まっているんだから…。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ