DM長編
□一歩目 <連れて来たワケ>
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城の敷地内に侵入者との報告が入った。
よくこんなところに入ろうと思ったよな。
「バベル、お前が行け」
上からそう言われたら行くしかないが、めんどくさいな。
渋々報告の入った場所に向かった。
――――ガサッ
物音
「そこにいるのは誰だ」
俺がそう声を発っしても出てくる様子はない。
それならこっちから出迎えようじゃないか。
「誰だと聞いている」
茂みをかき分けるとそこには、
「何者だ」
双子の少女らがいた。
「わっ、わたしたち…っは…」
双子の片割れが何か言おうとしたが、うまく喋れないらしい。
二人の格好といえば、世辞でも綺麗とは言えないほど汚れていて、ただボロ布をはおっているだけだった。
肩に触れようとしたら、大げさと言えるまでに拒絶された。
怯えているのか…?
…昔の俺も似たようなものだった。
だからこそ放っておくことができなかった。
「ついてこい、メシと着るもんをやろう…まぁ、ザキラ様の許可は必要だろうがな」
そう言うと、双子は目を光らせた。
一人がもう一人の手を引き、俺の後ろを歩くようについて来る。
さっきの怯えた様子はどこへ行った…
もので釣られるとは、危ない奴らだ。
とりあえず、ザキラ様に報告せねばな。