甘夢

□キャラメル味
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『あ〜..もうっ!』


なんで居残りなの!私は心の中で盛大に叫ぶ。いや、心の中だけじゃ足りないね。今すぐにでも叫びそう。
だめだ、だめ。私のことだから、きっとこの教室から離れた職員室まで声が響き渡ってしまう。そしたら更に目の前のプリントが増える..
でも正直これは精神的にダメージがきつい。たかが宿題を忘れたぐらいでこんな山のようなプリントをやらせなくても、と思う。
しかも寒い。冷凍庫のような教室。ああ死ぬ。凍死だ凍死。なんでストーブがないのここ。お金がないのか、この野郎!
一人でブツブツと文句を言う私はそろそろ自分の頭は危ないんじゃないかと考える。
大体、なんで私は一人なのか。本来なら一緒に宿題を忘れた、私が嫌いな男が目の前にいるはずなのに..
サボりだろうか、と思った瞬間に教室のドアが開いた。


「あー..わりぃ」
『..どこ行ってたのさ!』
「寒いから飲み物買いに」
『飲み物、だと..?』
「ああ温かいの。お前の分もあるぜ?」
『ま、まじですか!?』


宮舘が席に着いて、自販機で買ったと思われる飲み物を出した。
私はなんの疑いもなくそれを受け取る。思った以上に缶が熱くて落としそうになったけど、このなんとも言えない温かさに感激という感情が込み上げて来た。


『ありがとうございます..』
「敬語やめろよ。気持ち悪い」
『..さりげなく酷いね。何味?』
「キャラメル味」
『きゃらめる..?』


頭が上手く言葉を変換出来なかった。きゃらめる、キャラめる、キャラメル..ってはい?
目の前の宮舘を見ると満面の笑みを浮かべて、にやにやと私を見ていた。


『..私、キャラメル嫌い』
「知ってるけど?」
『..わざと?』


私は思いっきり宮舘を睨んだ。この男、なんて性格が悪いんだろうか。知ってて買うか普通。良心が少しは痛むでしょ、ねぇ。
私の心の叫びが聞こえたのか、宮舘は自分が持っていた缶を私に渡してきた。


「しょーがねーからやるよ」
『え..』
「口つけてねーから。キャラメル嫌いなんだろ?」
『うん..大嫌いですとも』
「じゃ、飲めよ」


そのにやにや顔を怪しいと思いながらも、せっかくくれたのに飲まないわけにもいかず、ゆっくりと口をつける。
私はその液体を口に運び、思わず吐き出しそうになった。しかし必死に胃へと流し込む。


『みーやーだーてー..』
「なに?なんかあった?」
『宮舘..あんた..』
「怪しいとか思わない?」
『だって..にしてもまずい』


宮舘が渡してくれたのもキャラメル味だった。
まずい。まずい。まずい。おかげで気持ち悪くなったじゃないか。ねぇ、ちょっと。吐く。いや吐かないけど。


「ほら、貸せ」


口内に広がる気持ち悪い味に顔をしかめる私を見て、宮舘は私が持っていた缶を取り上げた。
そしてそのままゆっくりと自分の口に運び、口をつける。


『え..?』
「..間接キス」
『ちょっ..//』
「うまいけど?キャラメル味」
『っ〜//』


ほんっとに、ありえない!!
私は今までの人生で一番であろう大きな声を張り上げて怒鳴った。



キャラメル味

(だから嫌いなんだって)




END
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宮舘甘?夢!
みーやーだーてーくーんーじゃーなーい。

キャラメル味好きな方、宮舘氏が好きな方は本当に申し訳ありませんでした!

次回もっと..いや、なんでもないです。←



綾瀬 09,01,17 加筆10,01,23

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