めいん  

□カードに
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「遊星って、本当にデュエルが強いわね。そんないいカードを、どうやって集めたの? 」               遊星と何度かデュエルを楽しんだ後、アキが聞いた。今日の成績は遊星が三戦三勝。アキはいずれも見事に20ターン以内に、ダイレクトアタックによって敗北していた。     
「元は捨てられていたカード逹だ。俺はそいつらが認められないのが悔しくて、拾ってデッキにしたんだ。」
「…そうだったのね。察してあげられなくて、ごめんなさい…。」

アキが謝ると、遊星はアキに微笑みかけた。

「そいつらは今まで恵まれない境遇にあったが、今は俺のデッキとして活かされている。きっと今は思う存分デュエルが出来ていて、満足しているだろう。アキが謝る事などない。」

「…わかったわ。でも、本当にそのカード逹は幸せだと思う。こんなに優しくて、温かい人に、デッキとして傍においてもらえるだなんて。大事そうに扱う姿に、少し嫉妬してしまうわ。」

アキが笑いながらそう言うと、不意に遊星がカード逹から手を離し、アキのところへやって来た。そして、優しく抱きしめた。
「俺にとって、アキとデッキは命に代えても守り抜きたい存在だ。もし大事な2つが同時に危機にあったとしたなら…、」
「…したなら?」

遊星はなかなか教えてはくれなかった。
「一体どっちなのかしら。デッキ?それとも私かしら。全然分からないわ。」

アキがふて腐れたように言うと、遊星がようやく言った。

「アキ以外に有り得るわけがないだろう?」
「…それだけ、聞きたかったのよ。」

アキはもうこのまま死んでも未練がないほどに嬉しかった。


…あぁ、今すぐ危機が私を襲ってくれたら。

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