ミネルバが生んだ愛
□欲しかったのは…
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俺は……信じる平和のために戦っていた…。たくさんの仲間達と……。
例え、それが間違ってると言われても…俺やザフトのみんなはそれが正しいと信じていたんだ…。
俺は……平和が欲しかった……あんな想いを二度としないように……。もう、二度と大切な人たちを失いたくないから…。
敗戦のショックが止まないままのミネルバクルーの下にシンとルナマリアがインパルス一機で帰艦した。コックピットから降りると、ヨウランが駆け寄ってきた。
「大丈夫だったか!?シン、ルナマリア!?」
「わりい、デスティニー…やられちまった…。」
「気にすんなよ!助かっただけよかったじゃんか。それより…言いにくいんだけど……レイが……。」
「わかってる……俺もルナも…。」
シンとルナマリアはヨウランの言葉の続きがなんとなくわかってしまった。二人が結ばれたことを一番喜んでくれた親友、平和のために共に戦っていた戦友の…死……。
「そっか…。ザフトの艦が迎えに来るみたいだからそれまで休んどけって副長が…。」
「ああ…そうさせてもらうよ…。さあ、ルナ…。」
「…うん。」
シンとルナマリアはどこか視線が合わない面持ちでシンとレイの部屋に戻っていった。
「シン…?」
「んっ…?どうしたんだよ、ルナ。」
部屋に着くなりベッドに倒れこんだ二人は天井を見つめながら会話をしていた。
「あそこで私が止めなければ…アスランに勝ってたかもしれないのにね…。…ごめんなさい…。」
(今のあいつに、お前は邪魔だ…。)
かつて、レイに言われた言葉が思い出される。今になってそれを痛感したルナマリア。
「…もう、いいよ…。俺達は…負けたんだから…。ま…守れなかった…誰も…、何も…。」
議長が示してくれた平和、それを信じて戦ってきた親友、守れなかった最愛の家族、そしてステラ……。
失ったものが多すぎたシンは布団を被った。
(お前は未来まで殺すのか!?)
アスランに言われた言葉。この言葉でシンは迷いを生んだ自分がたまらなく情けなかった。
(未来が殺されても、平和がいいに決まってる!平和じゃなけりゃ、地獄のような未来になるかもしれないじゃないか!)
今頃になってこんなことを考える自分がどうしようもなく弱い、と感じたシンは思わず涙を流してしまった。
涙を流すシンを見てルナマリアはシンをそっと抱き締め、ルナマリアもまたシンと同様に涙に暮れた。。
迎えの戦艦が来るまで二人は部屋から一歩も出ようとはしなかった。否、出ることができないくらいに二人は疲弊していたのだ。いろんなことがいっぺんに来たため頭と体が追いつかない、それ以上に心がついていかず、疲れてしまっていた。