初恋迷宮

□嘘
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暖かい…


なんか、何かに背中から包まれるような温もり。

この温もりはなんだ?


暖かい…というか、寧ろ………………暑苦しいっ。






むにゅ





「ふぇ!?」




胸に変な違和感を感じ、獄寺は目を覚ました。

いつもと違う風景。

ここは何処だ?あ、そっか……昨日雲雀に告白されて、思わず部屋を飛び出して沢田さん達の部屋に…。




むにゅむにゅ



再び感じた胸への違和感。
そして暑苦しい程の背中の温もりに恐る恐る振り返ると、目の前には山本のドアップ。


そして山本の手が……俺の胸に―――





「ひっ……………ひぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」




最悪な目覚めだった。















「ははっ、悪い悪い!床で寝てたら流石に寒くてさ〜。無意識にベッドに戻ってたみたいなのな!」

「だ、だからって抱きしめて寝ることねぇだろ!?」

「別に男同士なんだし問題ねぇだろ?」

「寧ろ気色悪いわっ!!!」




どうやら俺を抱きまくら代わりにしていた山本は、寝ぼけていたせいか俺が女だとは気づいていない。

本当、こいつが馬鹿でよかった。いや、胸をわしづかみされたのはあまり良くないが…。





「にしても双子だからかな?隼奈を抱きしめてる夢見たのな〜」




コイツ、今すぐ果たしてぇ…!





「あ、あのさ山本…今夜は俺と二人で寝よ?」

「別にいいけど……サイズ的にはツナと獄寺が一緒の方がよくね?」

「あっ、いや……それは、ちょっと…」



流石に俺が女だと知っている沢田さんは困ったように顔を歪めた。
俺の我が儘で沢田さんや山本にまで迷惑かけちまってる…。

もう、此処にはいられないな…。





「いいですよ、沢田さん!今日はちゃんと、自分の部屋に帰りますから…」

「え…でも!」

「雲雀と喧嘩したんだろ?大丈夫なのか?」

「いや、喧嘩って訳じゃないし…ちょっと一緒に、居づらかっただけで…」





―――好きだよ、獄寺隼人




今でも信じられない。


雲雀が……俺を好き?

自分に利益がないかぎり、雲雀は嘘をつくような人間じゃない。


じゃあ、いつから俺を好きだった?

もしかして俺は、骸、骸って…骸の話ばっかりして、無意識に雲雀を傷つけしまっていたのだろうか?





「獄寺君、俺達迷惑だなんて思ってないよ?寧ろ嬉しいよ。こうして3人で過ごすのは…これで最後かも……」



言いかけて、綱吉は言葉を止めた。
しまった、と思った時には遅く、綱吉の言葉に山本が不思議そうな顔をした。




「今の、どういうことだ、ツナ?」




空気が少し、重くなった。




 
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