初恋迷宮
□初デート
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恋はまるで、迷路のようだ
14歳の俺は、自分がその迷路に迷い込んでいることにも気づかず、ただ、笑っていた
10年もの間、その迷宮をさ迷い続けることも知らずに…―――
「ゴールデンウイーク?」
俺が日本に来て、一ヶ月が経った
「明日から連休でしょ?君は帰省するの?」
「帰省って…イタリアだぜ?第一、戻ったら最後、親父に足止めされて日本に来れなくなるつーの」
「じゃあ寮に残るんだ?」
「そのつもり。雲雀は?実家は並盛なんだろ?」
「家に帰る意味がないからね。此処に残るよ」
「そっか…!」
獄寺が嬉しそうに微笑んだ。そんな無防備な笑顔を向けられると…自分が特別なんじゃないかと勘違いしそうになる。
「沢田さんも山本も並盛だから一度家に帰るみたいだし、寮で一人は流石に寂しいなって思ってたんだ。雲雀がいてくれてよかったぜ」
「じゃあ獄寺…ゴールデンウイーク何の予定もないの?」
「ああ、寮でゴロゴロするつもりだけど?」
「……5日、」
「は?」
「5日は予定開けといて。僕も5日は風紀の仕事がないんだ。並盛案内するよ」
「本当か…!」
獄寺はパアッと顔を明るくする。
その表情に、僕の頬も自然に緩んだ。
「約束な!」
「ああ」
5月5日
それが何の日かなんて君は知らないだろうし、教えるつもりもない
ただ、その日を君と二人で過ごせるなら、僕にとっては何にも変えられないプレゼントだ