初恋迷宮
□再会
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結局、ルームメイトとなった雲雀とはまともな会話をすることなく、一夜を過ごした
「獄寺君、昨日は大丈夫だった?」
「雲雀と同室なんだってなー。大変そうだな」
朝、沢田さんと山本に誘われて朝食をとりに食堂を訪れた
「いえ、全然問題ないっす!まあ、いけ好かない野郎でしたが」
「あはは…。雲雀さんをいけ好かないなんて言える人、そうそう居ないよ」
「そうなんですか?あ、所で沢田さん、一つ疑問があるんですが…」
「なに?」
「並中って全寮制ですよね?にしては生徒が少なくないですか?」
それは昨日の晩飯の時も感じていた
食堂は広くはあるが、全校生徒が入るには小さすぎるし
朝食なんて限られた時間にしか来れないというのに人が少な過ぎる
半分くらいしかいないんじゃないか?
「ああ、食堂は東棟と西棟に別れてるんだよ」
「元々は1つだったんだけど、1年位前に大掛かりな改装があって2つになったのな」
「改装…?」
「獄寺君も昨日少しは見かけなかった?俺達はブレザーだけど、学ラン着た人達」
「あぁ!それも疑問だったんです!黒い学ランと緑の学ラン!」
確か、雲雀は黒い学ランを着ていた
昨日、学校でも何人か見かけたし、緑の学ランを着た奴らもいた
「それがこの学園の派閥争いなのな」
「派閥争い?」
「黒い学ランの人達は、風紀委員長…つまり雲雀さん率いる風紀派で、緑の学ランは生徒会長の六道骸率いる生徒会派ってこと」
「生徒会長!?骸って生徒会長だったんですか!?」
全寮制とはいえ、こんな小さな学園に派閥争いがあることも驚いたが、骸が生徒会長だったなんて…
「それが下らないんだよなー。1年半くらい前に雲雀と骸が風紀委員長と生徒会長に就任したらしくてさ。ちょうどその時期に制服を学ランに変えようって話になったんだ。
んで、雲雀は絶対黒い学ランだと言い張って、骸は緑だと断固譲らず。そこから二人の因縁が始まって、今じゃ寮も東西別れるくらいの規模になってんの!」
「俺達が入学するまえの話だけどね」
「ば、馬鹿馬鹿しい話ですね…」
たかが制服で普通全校生徒を巻き込むか?
にしても、緑の学ランなんて…骸のセンスも相変わらずだな
そう思うと、なんだか可笑しくなった
でも、雲雀が東棟に居るってことは、骸は西棟かぁ…
寮ではなかなか逢えそうもない
こうなったら、直々に生徒会室に乗り込むか
そう決意を胸に、俺は朝食を済ませた