夢想恋華
□夢想い、恋の華咲く
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「よかったのですか、リボーン。あれでは、貴方が非情な人間だと勘違いされますよ」
獄寺が目を覚ましたのを確認すると、リボーンは綱吉を置いて帰路についた。
その後を追うように、風が少し離れた所でリボーンの背中に問いかける。
「間違っちゃいねぇだろ?」
「そうでしょうか?少なくとも、貴方と一番付き合いの長い私にはそれだけだとは思えませんが」
「……」
リボーンは確かに、他人に厳しい所がある。
だが、厳しさの裏に優しさを持っている事を、リボーンと長い付き合いである風は知っていた。
「貴方の考えを当ててみましょうか?」
「……」
「先のリング争奪戦で、沢田さんは正式にボンゴレ10代目候補になった。
今日のようにいつ殺し屋が現れるか分からない。
沢田さん達は確かに強い、だけどまだ子供です。大人の手練れた殺し屋達相手では、いつ命を落とすか分かりません」
「……だからなんだ?」
「だから、獄寺さんの力が必要だったのでしょう?それが彼を苦しめる事になっても、沢田さんを守りたかった。違いますか?」
確信めいた風の言葉に、リボーンはフッと笑みを見せた。
「違ぇな」
「おや」
「確かに、ツナを守るには獄寺の力は必要不可欠だ。
だが、ツナが三流の殺し屋に殺されようが俺は知った事じゃねぇ」
「相変わらず、酷い事を言う…」
「寧ろ、俺が心配だったのは…」
そこまで言って、リボーンは言葉を止めた。
だが風には、リボーンの考えていることが手に取るように分かった。
獄寺の知らない所で綱吉が死ぬ。
もしそんな事が現実に起きたとしたら……恐らく獄寺は自分の力の無さを悔いるだろう。
彼にとって、悪夢を見る事よりずっと……辛い想いをする事になる。
幼い頃、一番大切な人を守れなかったからこそ、同じ苦しみを味わらせたくなかった…という事なのだろう。
「貴方の優しさは、分かりづらいです」
「何か言ったか?」
「いいえ、何も」
でもリボーン。
少なくとも獄寺さんは、きっかけを与えてくれた貴方に感謝してると思いますよ?
*夢想い、恋の華咲く*