夢想恋華

□守りたい、守れない
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『グスッ……ヒックッ、』

『また泣いてるのか、隼人?』

『しゃまる……俺、また守れなかった。俺っ…』

『当然だろ?お前はまだガキなんだから。全部一人で抱え込むな。
今は無理でも、いつかお前の力で本当に大切な人を守れる日がくる』

『ほんと?』

『ああ、必ず…』




幼い頃の俺は、所謂予知夢と言うものを見ていた。

それも、ただの予知夢ではない。

俺が予知夢で見る夢は、人の死に関する事だけだった。



大切な人達が血まみれになって死んでいく夢。

それは最悪な悪夢であり、俺の力で救えるかもしれないという希望だった。




だけど、あの時の俺の力では、結局誰も守る事なんて出来なかった。

本当に大切な人を、誰ひとり守れなかった。




でも今度こそ守りたい。


大切な人をもう二度と、失いたくない。





*守りたい、守れない*














「10代目っ!!!」



目を覚ますとそこは、見慣れた保健室のベッドだった。



「獄寺…!」

「大丈夫か隼人!?お前、まさか…」

「雲雀、シャマル…」



俺、屋上に居たはずなのに、なんて事が一瞬頭を過ぎったが、直ぐに顔色を変えシャマルを見上げた。




「シャマル!今何時だ!?」

「え…5時、ちょい前…」

「まだ……間に合う!」



俺は慌ててベッドから飛び起きると、保健室の扉に手をかけた。

そんな俺の手を、雲雀が制止する。




「どうしたって言うの?まだ安静にしたほうが…」

「離してくれ!今はそんな隙はないんだっ!!!」

「え?」

「10代目がっ……10代目が殺される!」



詳しく説明する時間はない。

今は一秒でも早く、あの場所へ行かないと。




「…………どこ?」

「え?」

「どこにいるの、沢田は?」

「あ……商店街に向かう途中の、十字路あたり」

「分かった。バイクを出すから校門で待ってて」

「雲雀…!」

「よく分からないけど、嘘をついてるようには見えないからね」




そう言って雲雀は、窓から外へと飛び出して行った。

俺も急いで校門に向かおうとして、ふとシャマルと目が合う。




「……思い出したのか」

「…ああ」

「そっか………なら、行って来い」

「っ………ああ!」




獄寺が保健室を飛び出して行くのを見送ると、シャマルは頭を抱えながら携帯を取り出す。




「リボーンか?緊急事態だ」




 
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