夢想恋華
□守りたい、守れない
1ページ/2ページ
『グスッ……ヒックッ、』
『また泣いてるのか、隼人?』
『しゃまる……俺、また守れなかった。俺っ…』
『当然だろ?お前はまだガキなんだから。全部一人で抱え込むな。
今は無理でも、いつかお前の力で本当に大切な人を守れる日がくる』
『ほんと?』
『ああ、必ず…』
幼い頃の俺は、所謂予知夢と言うものを見ていた。
それも、ただの予知夢ではない。
俺が予知夢で見る夢は、人の死に関する事だけだった。
大切な人達が血まみれになって死んでいく夢。
それは最悪な悪夢であり、俺の力で救えるかもしれないという希望だった。
だけど、あの時の俺の力では、結局誰も守る事なんて出来なかった。
本当に大切な人を、誰ひとり守れなかった。
でも今度こそ守りたい。
大切な人をもう二度と、失いたくない。
*守りたい、守れない*
「10代目っ!!!」
目を覚ますとそこは、見慣れた保健室のベッドだった。
「獄寺…!」
「大丈夫か隼人!?お前、まさか…」
「雲雀、シャマル…」
俺、屋上に居たはずなのに、なんて事が一瞬頭を過ぎったが、直ぐに顔色を変えシャマルを見上げた。
「シャマル!今何時だ!?」
「え…5時、ちょい前…」
「まだ……間に合う!」
俺は慌ててベッドから飛び起きると、保健室の扉に手をかけた。
そんな俺の手を、雲雀が制止する。
「どうしたって言うの?まだ安静にしたほうが…」
「離してくれ!今はそんな隙はないんだっ!!!」
「え?」
「10代目がっ……10代目が殺される!」
詳しく説明する時間はない。
今は一秒でも早く、あの場所へ行かないと。
「…………どこ?」
「え?」
「どこにいるの、沢田は?」
「あ……商店街に向かう途中の、十字路あたり」
「分かった。バイクを出すから校門で待ってて」
「雲雀…!」
「よく分からないけど、嘘をついてるようには見えないからね」
そう言って雲雀は、窓から外へと飛び出して行った。
俺も急いで校門に向かおうとして、ふとシャマルと目が合う。
「……思い出したのか」
「…ああ」
「そっか………なら、行って来い」
「っ………ああ!」
獄寺が保健室を飛び出して行くのを見送ると、シャマルは頭を抱えながら携帯を取り出す。
「リボーンか?緊急事態だ」