夢想恋華

□目覚め始めたチカラ
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「お前ら俺の保健室で何やってんだ?言っておくが野郎は診ないぜ」

「今まで何してやがったこのっスケコマシ!!!」



獄寺が綱吉の火傷の治療をしていると、本来の保健室の持ち主であるシャマルが姿を現した。




「なんだボンゴレ坊主、怪我したのか?情けねぇなぁ〜」

「10代目を馬鹿にすんじゃねぇーよ!!!」



キャンキャン吠える獄寺を軽くあしらいながら、シャマルはベッドの脇に座っている風に目を向けた。
そして、獄寺達には分からない程度に顔を歪ませ、驚いた表情をする。

風もそんなシャマルの様子に気づき、小さく会釈をした。




(アルコバレーノ、風…。リボーンが呼んだのか?


だとしたら、リボーンがついに本格的に動き出したという事か…。

あの野郎…俺やビアンキの許可なく勝手な事しやがって)



そう心の中で悪態をつきながら、シャマルは自分のデスクに腰をかけた。




「そういえば獄寺さん。先程沢田さんの名前を叫びながらうなされてましたよね?」

「っ…!?」



風のその言葉は、今度はポーカーフェイスが崩れる程にシャマルを動揺させた。



「なんだ獄寺?ツナの夢でも見てたのか?」

「あ、いや……夢つーか、なんか10代目が助けを呼んでる声が聞こえたっていうか…」

「え!?俺が!?」

「ははっ、なんかすげぇなー。まるでツナのピンチを察知したみたいなのなー」



理科室で小さな爆破事故があったのは聞いた。
だからわざわざ怪我人がいないかと保健室に戻ってきたのだ。

ボンゴレ坊主の怪我も、それが原因だったのは察しがつく……だが、




「隼人……それはどんな夢だったんだ?」

「は?どんなって…特に映像はなくて、助けてって言う10代目の声だけで…」

「っ……いいか、隼人。次にそんな夢を見たら真っ先に俺に知らせろ!」

「はぁ?なんだよ急に?」

「いいから!ちょっと出掛けてくる」



そう言って再び保健室を出て行ったシャマルの背中を見送りながら、獄寺は首を傾げた。




(あんな動揺したシャマル……初めて見た)




長いシャマルとの付き合いの中で、何時だってシャマルは飄々としていた。

直ぐに感情が表に出てしまう自分とは違う、そんなシャマルに憧れていた。




(何が………起こってるんだ?)




この時の俺は、自分の身に起きた変化に、ちっとも気づく事が出来なかった。




*目覚め始めたチカラ*



 
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