夢想恋華

□行き場を失った想い
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目の前に雲雀にそっくりなもう一人のアイツ。


アイツは雲雀なんだと思っていた。

でも、目の前の男の出現に頭の中が混乱する。



「えっと…すみません。直ぐに終わらせますから」



そう言ってアイツに似た男は笑みを見せ、黒いスーツを着た男に向き直った。


そして、圧倒的な強さを見せつけ、黒いスーツの男が逃げて行った。






「お騒がせしてしまって申し訳ありません。その指輪、ボンゴレリングですよね?」

「なっ……お前、なんでボンゴレリングのこと…!?」

「私は…」

「そいつは嵐のアルコバレーノ、風だぞ」



目の前の男の言葉を遮るように聞こえてきた声に振り向くと、屋上のフェンスに腰掛けるリボーンの姿があった。



「リボーンさん!」

「赤ん坊…」

「リボーン、お久しぶりです」



ペこりと頭を下げる風と呼ばれた男を見ながら、俺は疑問を感じた。

今リボーンさんは嵐のアルコバレーノだと言った。

だが、この男の容姿には矛盾がある。



「あの、リボーンさん?アルコバレーノって最強の赤ん坊のことですよね?ですが…」



過去に出会ったコロネロやスカル、バイパー、そしてリボーンさんも赤ん坊だ。

だが、この男の容姿は俺達よりも年上だ。




「ああ、コイツのはちょっと特殊なんだ」

「特殊と言うか、中国に古くから伝わる秘薬を飲んだだけですよ。本来、年老いた格闘家が一時的に全盛期の身体を取り戻すものなんですが、我々アルコバレーノの存在事態特殊ですから」

「ちなみに俺は薬との相性が悪くてな。アルコバレーノの中で効果があったのは風だけなんだぞ」

「は、はぁ…」




ようは若返りの薬を飲んだって事なんだろうか?

若返る薬で歳を取るなんてのも不思議な話だが。




「それよりどうだ、風。雲雀に会った感想は」

「え?ああ、確かに私と似てますね」

「なんだ、あんまり驚かないんだな」

「貴方やイーピンから聞いていましたから。それより…」



そう言って風は獄寺の方をジッと見つめた。
その風の視線を遮るように雲雀が獄寺の前に立つ。



「獄寺がどうかしたのか?」

「いえ、ちょっと似ていたものですから…」

「似ていた?」



風の知り合いにでも似ているのだろうか、と獄寺は首を傾ける。
そして、次にリボーンが放った言葉に驚愕する。



「まさか、お前のくだらない夢の話か?」

「くだらないって……私は真剣ですよ」

「ゆ、め…?」




まさか。嘘だ。そんなはずがない。


だってアイツは雲雀で…。

だから俺は、雲雀が…―――
















本当はずっと願っていた。



俺がアイツの夢を見るように、アイツも俺の夢を見ていてくれたらいいのに。



そしたら俺は、それを運命だと思えるから――






*行き場を失った想い*




 
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