夢想恋華
□もう一人の、アイツ
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捕まれた腕から、雲雀の温もりを感じる。
何が、起こっているんだ?
どうして雲雀が不機嫌そうに俺の腕を掴んでいるんだ?
『俺に良い考えがある!』
そうだ、昨日跳ね馬が…。
『はぁ?家に泊まるって……何でだよ』
『恭弥がヤキモチ焼くかもしれないだろ?お前ら絶対両想いだと思うんだ』
『……んなわけ』
そう否定しながら、俺は心の何処かで期待した。
雲雀は、ヤキモチ焼いたりしてくれるだろうか?
まだ、希望は捨てなくても……いいんだ、ろうか?
そうだ。そんな仄かな期待を理由に、昨夜は跳ね馬を家に泊めたのだった。
そしたら雲雀のこの反応。
もしかして、期待しても……いいのか?
雲雀に手を引かれながら振り返ると、跳ね馬が優しそうな笑顔を向けながら手を振っていた。
耳の良い俺にしか聞こえないくらいの音量で『頑張れ』と呟きながら。
なぁ、雲雀。
俺、お前のこと諦めなくてもいいのか?
*もう一人の、アイツ*