夢想恋華
□伝えられない想い
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「あ…」
「やぁ」
修業の息抜きにと訪れた屋上に居たのは、雲雀だった。
久々に見たその姿に、俺の心臓の鼓動が速くなる。
「跳ね馬は…?」
「さぁ、どっか行ったよ」
「そっか…」
じゃあ跳ね馬が戻ってくるまでは、雲雀と二人っきり…。
黒曜の一件で自分の気持ちを自覚してからは、雲雀と二人で過ごす時間が増えた。
だけど、未だに気持ちを伝える事が出来ないでいる。
なぜなら、雲雀は好きな人がいると以前言っていたからだ。
それが誰だかは分からないが、今でもその気持ちが変わっていないだろうことは何となく分かる。
伝えたい。でも伝えられない。
今の関係を、壊したくない。
今夜もまた、アイツの……雲雀の夢を見るんだろうか?
幸せそうに笑う、夢の中の自分。
そんな空想の自分に、俺は今日も嫉妬する――
*伝えられない想い*