夢想恋華

□夢の足音
1ページ/2ページ





「君、好きな人いるでしょ」

「はぁ!?」



いつものように授業をサボり、屋上で喫煙していると雲雀が現れた

咬み殺される、そう思ってダイナマイトに手を伸ばすと、雲雀が放った冒頭の一言





「な、なんだよいきなり…!」

「この間、君が寝言で好きだとか早く迎えに来いとか言ってたから」

「な!?」



確かに、最近は頻繁にアイツの夢を見る

まさか寝言を言っていたなんて…しかもそれを雲雀に聞かれたなんて、最悪だっ



「て、テメーには関係ねぇだろ!?」

「関係ないけどね。君みたいな問題児がまるで恋する乙女のようだったからね。どんな男なのか気になって」

「テメーとは正反対の色男だよ!」

「へぇ、本当に男だったんだ。カマかけただけだったんだけど」

「っ…!」



しまった

寝言だけで相手が男だなんて分かるわけねぇよな…




「……どうせ、気持ち悪いとか思ってんだろ」

「別に」

「嘘つけよ。普通はキモいだろ、男が……男好きになるなんて」



俺だって、アイツの夢なんか見てなかったら、普通に女を好きになってたかもしれない

実際、俺は男が好きなわけじゃねーし





「気持ち悪くはないよ。僕も好きになった人は男だったから」

「は…?」



雲雀に……好きな人?

あれ?なんでだ?



胸が、ざわざわする





「……」

「何その驚いた顔。僕だって恋くらいするんだけど?」

「あ…そう、だよな。なんか雲雀と恋とか、結び付かねぇから」

「失礼だね」

「悪いって!でも、どんな奴なんだ?お前の好きな奴って…」




ただ、純粋に興味があった

雲雀が興味あるのは強い男だから


きっと、そいつも凄く強いんだろうか?

雲雀みたいに群れを嫌う、一匹狼なんだろうか?




「…いつも群れてるし、弱い草食動物」

「はぁ?お前…そういうの嫌いじゃねぇのかよ?」

「嫌いだよ。だけど、気がつくと彼ばっかり目で追ってる。それって好きってことでしょ?」




雲雀の目を見て、一瞬ドキッとした


アイツと、同じだ


凄い冷たい目をしてる奴だと思ってたけど、好きな奴にはこんな優しい目が出来るんだな…



 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ