夢想恋華

□恋は突然に
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彼を最初に見たのは、1枚の写真だった


イタリアから転校生が来ると草壁に渡された履歴書に添付された写真を見て、僕は言葉を失った




日本風な名前に似合わない白い肌と銀色の髪

そして、翡翠の瞳



写真越しでもわかる、鋭い瞳




まるで、孤独を好むような…そんな瞳だった



僕は一瞬で彼が気に入った


早く会ってみたい、そう思った




しかし、実際彼が転校してきても僕は直ぐに彼には近づかなかった


近づこうと思えば簡単だった

だって彼は風紀を乱している
注意をするついでに声を掛けるくらいいつだって出来た



なのにそれをしなかったのは、恐らく彼が綺麗過ぎたから


写真でみるよりずっと、綺麗過ぎたのだ



見た目が…というのもあるが、それ以上に心が




不思議だった

孤独な瞳をしてるのに、闇を知った瞳をしているのに


それを足してもお釣りがでるほど、彼…獄寺隼人は純粋な心を持っていた



だから近付けなかった

自分の汚れた心が浮き彫りになりそうで…


怖かった





それなのに僕は、いつも彼を目で追ってしまっていた

気がつけば、遠くから彼を見つめる自分がいた




そして彼は、僕の前に現れた


僕を見つめるその翡翠の瞳が大きく開いたとき、やっぱり綺麗だと思った

もっと、その瞳に僕を映したい…そう、思った



でも、それと同時に彼が群れていたことに無性に腹がたった


近づくなよ、彼に…

君も僕だけ見てればいい





そして気がつけば、僕はその場にいた全員咬み殺していた



 
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