企画小説2
□2011年エイプリルフール企画
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*『可愛いのは君の方』の続編です。
*今度はちゃんと雲♀獄になりますが、獄雲前提なのでご注意を。
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始まりは数日前の5月5日。
僕の誕生日であるその日に、赤ん坊が放った一言だった。
「ヒバリ。誕生日プレゼントにどんな願いでも叶えてやるぞ」
その一言に僕は、今後の人生を大きく左右する決断をした。
我が儘なヒロイン
朝、獄寺は違和感を感じながら目を覚ました。
まず、自分の部屋が自分の部屋ではない。
寝ぼけているのか?とも思ったが、普段モノクロな物で揃えていた部屋がカーテンや布団カバーがピンクに変わっていたり、枕元にクマのぬいぐるみがあるのは決して見間違いでも、寝ぼけている訳でもない。
なんでこんな女っぽい家にいるんだ?
一瞬、彼女である恭弥の部屋かとも思ったが、あの恭弥は女だからといってこんな可愛らしい部屋に住む奴じゃないのは俺が一番よく知っている。
それに、部屋の中心に置かれたグランドピアノが、間違いなく俺の部屋だと告げていた。
「なんで…」
昨日まではいつも通りの普通の部屋だったはず…まさか泥棒……が、人の部屋を勝手にリフォームしたりしないよな。
じゃあいったい誰が…?
「って、やべぇ!遅刻する!!!」
呑気に考え事をしてる暇はなかった。
遅刻なんてしたら恭弥になんて言われるか分かったもんじゃない。
この間の恭弥の誕生日だって、どうやら恭弥の機嫌を損ねてしまったらしく甘い一夜がお預けになってしまった。
これ以上機嫌を損ねる訳にはいかない、と慌てて制服に着替えようとクローゼットを開けると、そこで俺は再び我が目を疑った。
「う…そだろ?」
クローゼットにあるはずの俺の服は一切なく、あるのは可愛らしいフリルのついたワンピースとか、丈の短いデニムのスカートとか、とにかく女物しかなかった。
その中で唯一見慣れた物を手に取ると、それは並中のブレザー。
ただし、やっぱり女物だった。
「どうなってんだよ…これ?」
悪い夢でも見てるのか?なんで俺の部屋が女の部屋に変わっている?
とりあえず一旦落ち着け、と自分に言い聞かせて頭に冷静さを取り戻した。
が、そこで俺は違和感を感じる。
俺は下着はトランクス派だ。ブリーフなんて持っていない。
だけど、なんだこの下半身の違和感は?
それに、胸を締め付けるような違和感は…?と、俺は恐る恐る自分の身体を見下ろした。
着ていたパジャマは色がピンクと言うことを除けばそんなに変な物ではない。
しかし、胸の辺りにある二つの膨らみ。それに触れて感じる柔らかい感触には、可愛い彼女持ちで、ヤルことはヤッてる俺が知らない訳がない。
そして、最後の希望にと男の象徴であるそこに手を伸ばすが……。
「な、ない…」
あるはずの物がなく、ないはずの物がある。
つまり答えはこうだ。
「嘘だろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
朝起きたら俺は、女になっていた。