企画小説
□愛人
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※10年後ツナ獄←雲です。
※ツナ京要素もあります。寧ろツナ京は結婚してます。
※ツナ様が真っ黒です。
※獄寺が可哀相です。
※雲雀さんよりツナの方が一枚上手です(口喧嘩的な意味で)
※最終的には雲獄になります。
そんな感じです。
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俺と10代目は、恋人同士………のはずだった。
「はぁ〜。やっと終わった〜」
「お疲れ様です。10代目」
「今日は京子がご馳走作るって言ってたから早く帰らなきゃ」
「っ……そうですか」
10年前、俺は10代目に告白された。
10代目に尊敬や憧れ以上の気持ちを抱いていた俺にはまるで夢のようで…。それから俺と10代目は恋人という関係にあった。
そう、半年前までは。
『え…笹川が妊娠、ですか?』
『そう。今三ヶ月だって』
『えっと…父親は誰なんですか?できちゃった婚なんてあの芝生が認めるわけ、』
『俺だよ』
『……え?』
『だから俺だって。京子ちゃんのお腹の子の父親』
それは、まるで死刑判決を受けたくらいの衝撃だった。
10代目の恋人は俺のはずだ。
男同士だけど身体の関係もあった。
10代目は世界で一番俺が好きだと言ってくれた。
なのに、10代目は笹川とも身体の関係があった?
『妊娠させちゃったのは予想外。これから京子ちゃんとお兄さんに報告しようと思うんだけど、やっぱ殴られるよね〜。やだなー、お兄さんのパンチ喰らうの』
『あ、あの…報告って、どうするつもりなんですか?』
『どうするって?』
『その、子供……産むんですか?』
答えは分かっていた。
生まれてしまった命を、10代目が殺す訳がない。
それでも質問せずにはいられなかったんだ。
父親になるつもりはない。そう言って欲しかった。
『産むよ。当たり前じゃない?』
『っ……そう、ですよね』
『あ、でも安心してね。俺の一番は獄寺君だから』
『え…?』
『俺が獄寺君を手放す訳無いでしょ?』
そういつもの優しい笑みで言われ、俺は頭が真っ白になった。
それから、予想通り10代目は芝生に殴られはしたものの、一ヶ月後には笹川と結婚した。
それでも俺と10代目の関係に変わりはない。
10代目は俺に愛を囁くし、俺もその愛を受け入れる。
変わった事と言えば、毎週金曜日以外は10代目は真っ直ぐ愛妻の待つ家に帰ってしまうこと。
そして、俺と10代目の関係の名が、恋人から愛人に変わってしまったことだけだ。
「あ、そうだ獄寺君。明日の金曜はいつも通り会議で遅くなるって言ってあるからね」
「…はい」
「予定入れちゃ……ダメだよ?」
優しい口調であるにも関わらず、有無を言わせぬ表情に俺は小さく頷いた。
嫌な訳じゃない。
10代目と過ごせる事は、俺にとっての幸せだ。
だけど、愛人という言葉が俺の背中に重くのしかかった。