企画小説
□鳥のように
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「ジョット、これからどうするでござるか?」
「安心しろ、既に手は打ってある」
そう言いながらジョット達がパーティー会場に戻ると、複数の銃口が向けられた。
雨月はすかさずジョットの前に立ち剣を抜くが、ジョットは至って冷静な表情をしていた。
「どうやら我々の思惑が知れたようですが、この城は我々ロッソファミリーのテリトリーだ。ボンゴレに勝ち目はない」
「テリトリー?」
その言葉に、ジョットは嘲笑うかのような笑みを見せた。
「な、何がおかしい!?」
「お言葉ですが、テリトリーと言うのならお前ら全員、とっくに奴のテリトリーの中だ」
ジョットがそう言った瞬間、視界がぐにゃりと歪んだ。
「な、なんだこの化け物は!?」
「やめろ!助けてくれぇ!!!」
いきなり叫び出すロッソの人間達に、事態を把握した雨月は、ゆっくりと剣を下ろした。
「幻覚でござるか」
「ああ、アイツにだけは事情を話して城中に幻覚をはらしていたんだ」
「……にしても、大の大人がああまで……。一体どんな幻覚でござるか?」
「フフフ……知りたいなら貴方にも見せてあげましょうか?」
いつの間にか背後にいた男に、ジョットと雨月はゆっくりと振り返る。
「いや、遠慮するでござる」
「それは残念」
「それよりデイモン!これはどういう事だ!」
いつもは温厚なジョットが、珍しく怒気を放ちながらデイモンへと詰め寄った。
「なんの事です?貴方の命令通りこうしてロッソを見張ってたんですよ?」
「アラウディの事だ!ロッソの目的はボンゴレの情報だった。わざとアラウディ達にその目的を知らせる訳がない!
俺が感づいてることをロッソに知らせ、アラウディを罠に嵌めたのはお前だろ!?デイモン!!」
「……」
「デイモン……お主、」
啖呵を切るジョットに、デイモンは欝すらと笑みを見せた。
「流石は、ボンゴレプリーモの超直感ですね?」
「何が目的だ…」
「目的?そんなの決まっているじゃないですか。邪魔だから消す。それだけです…」
「デイモン…!」
「寧ろ感謝して欲しいくらいです。1番アラウディを邪魔だと思っているのは貴方でしょう、ジョット。
アラウディが居なければ……Gはずっと貴方だけのモノだったのですから」
「っ…」
「デイモン!それ以上のプリーモへの冒涜はいくら守護者であろうと許さないでござる!」
デイモンに向かって剣を抜こうとする雨月の腕を、ジョットは黙って掴み、それを制止した。
「ジョット…」
「……デイモン、確かに俺はアラウディが憎い。未だかつてないほどの嫉妬心を抱いている。それは認めよう」
「なら、ここでアラウディが死んだ方が…」
「だが、それ以上にアラウディは俺の大切な仲間で、友人で………家族だ!
俺は、お前の事もそう思ってるぞ、デイモン」
「っ…」
ジョットの言葉にデイモンは小さく顔を歪める。
「相変わらず甘い男ですね。そんなんだからGに愛想つかされるのですよ」
「そうかもな。お前も、Gが欲しいなら回りくどいことなんかしないで、アラウディのように真っ正面から打つかった方がよかったんじゃないか?」
「よ、余計なお世話です…!」
そう言ってデイモンはスッと姿を消した。
「…いつか、デイモンに足元掬われるでござるよ」
「分かっている。だがデイモンも心根が悪い奴じゃない。俺は最後までアイツを信じる。
それより、此処はデイモン達に任せて、俺達はGを追うぞ」
頼む、無事でいてくれ……アラウディ
第四章...
鳥のように