初恋迷宮

□約束
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「む、くろ……っ」




何度目だろうか?

獄寺が、六道の名を呟くのは…




泣き疲れた獄寺は、僕の服の裾を掴みながら眠りについた

そんな獄寺を引き離すことも出来ず、一緒に獄寺のベットに横になった



目の前に好きな子が居て、触れたいと思う

しかし、理性を失う前に獄寺が六道の名を呟き、僕は現実へと引き戻される……その繰り返しだった




「僕なら…泣かせたりしないのに」



どうしたら君は、僕を選んでくれるのだろう?


獄寺の首筋に、赤い痕

六道が付けた、所有印



こんなもの…消えてしまえばいいのに、そう思って僕は、獄寺の首筋に触れる

そして、ふと獄寺のブラウスの隙間から見えた白い影





(さらし…?)





何故さらしを?

そういえば、獄寺が僕の前で着替えない事に疑問を感じた事がある


この様子だと、性行為の痕隠しではないだろう

だとしたら、やはり虐待を?


このさらしも…そのため?





「ごめんね、獄寺」




眠る獄寺に断りを入れると、僕はブラウスのボタンを外し始めた

ボタンを3つ外した所で、僕の手が止まる




「嘘……でしょ?」




さらしを巻かれた獄寺の胸元

ブラウスの上からでは気づかなかった、胸の膨らみ



まさか…獄寺は…―――





「っん………むく、ろ?」



ピクリと獄寺の身体が動き、ゆっくりと目を開けた




「え…………うぁ!?ひ、雲雀!?な、なななんで…!!」



目の前に居たのが僕だと気づくと、獄寺は慌てて距離をとった


と言っても、ベットの上だし、獄寺は壁側にいたからまだ手を伸ばせば簡単に届く距離




「君が………僕の服の裾を掴んで離さなかったんだよ」

「え!?わ、悪ぃ……俺、寝ぼけてて…」



寝ぼけて?

寝ぼけて、僕と六道と間違えたとでも言うのか?


ああ、イライラする




「別に、いいけどね。それより、早く胸元隠した方が良いんじゃない?」

「え…?」



僕の言葉に、自分の服が乱れている事に気付いた獄寺が、慌ててブラウスを引き寄せる



「なっ……どうして!」

「さらしが巻かれてるみたいだったから。何か怪我でもしてるのかと思ってね」

「だ、だからって…!変態っ!」

「何が変態?君が女だと知っていたら、こんな事しない」

「っ…!」



僕の言葉に獄寺は言葉を詰まらせる

何をしているんだろう、僕は


獄寺を困らせたい訳じゃないのに、イライラが……止まらない



 
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