企画小説
□嘘つきな君へ
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あれはまだ、俺が小学校低学年だった頃
俺はどっちかっていうと大人しい女の子で、よく髪とか目の色が変だと虐められていた
でも俺は、母さんと同じこの色が大好きだったから、母さんはもちろん、誰にも虐められてるなんて言えなかった
そんな俺を虐めから救い出してくれたのが、幼なじみの恭弥だった
恭弥も、当時はまだ喧嘩っ早い性格じゃなかった
でも、俺の為に戦う恭弥は、恐ろしく強くて…
少し、怖かった
だから俺は決めたんだ
強くなるって、決めた
恭弥に守られなくてもいいように、大切な人を守れるように…
俺の為に恭弥が誰かを傷つけるなんて嫌だから
あんな恭弥を、もう見たくないから
男に嘗められないように男言葉で喋るようになり
喧嘩だって、男相手にも負けないくらい強くなった
大丈夫、俺は強い
そう、心に言い聞かせながら…――
嘘つきな君へ