短編

□ロイ・マスタングの苦悩 (P3)
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 俯いたままの頭がふわりと暖いものに押し付けられた。
 顔を動かそうにも強い力で拘束されていて動かせない。
 かろうじてその感触からエドワードの腕に囲い込まれていることを理解する。
 耳を押しあてられている胸元が細かく震えている。それが笑いの波動だと気付くまでしばらく時間がかかった。

「アンタって結構鈍いな」
 回された温もりに、楽しそうな笑い声に、耳元で聞こえるその言葉に、混乱する。

「オレがここに住んだ理由、わかってなかったのかよ?」
 さらに混乱する。

「出て行けって言われた時は嫌われたんだと思った」
 その声は今までの楽しげな口調とは打って変わって深く静かなものでロイは思わず顔を上げる。

「アンタ、気付くの遅すぎだよ。
 オレ、結構甲斐甲斐しく世話焼いてたと思うんだけどな。
 好きでもないヤツにそんなことするわけないじゃん」

 くすくすと笑いながら落とされる言葉にようやく自分の状況を理解する。


 手を伸ばす。
 もう一度。
 その唇を堪能してから吐息とともにロイは呟く。

「では、私の苦悩はなんだったんだ……」

 ともあれ。
 ここより始まる。





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あとがき
お読みいただきありがとうございます。
幸せな二人というものも書いてみたいかな……なんて(笑)
エド軍服イラコンへ「勝手に協賛企画」と思って書いたのですが、ぜんぜん軍服姿のエドの出番ないじゃん(泣) しかも投稿期間過ぎてるし… orz
近々リベンジしたいと思います。

2006/08/15
2006/08/16 加筆修正
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