中・長編

□a long long time ago(P16 完結)
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06



 焚き火を挟んで寝袋がふたつ。
 もぞ、と大きいほうの塊がうごめいた。
「まだ寝てないのかよ」
 寝なきゃ夢は見らんないんだぜ、なんてまるで諭すような言葉を面白がっている口調でかけてくる。

 すっかり主導権を握られてしまったな、と苦笑する。
 イーストシティを発ったときにはこんな展開を予想することはできなかった。
「なぁ、鋼の」
 閉じた瞼はそのままにケデムに来てからずっと心にかかっていたことを口にしてみる。「あの二人はなぜ惹かれあったのだろうか」
 確かに軍にあっては特に珍しいことではないが。
「さぁな」

 それも賭けのひとつだ、とロイもエドワードも口にださずに思う。
 彼らが出会ったこの場所で、果たして何がしかの新事実や新展開につながっていくようなことが起きるのか。
 自分が現在抱えているこの想いの原点となるものを見つけ出せるような、そんな夢を見るのだろうか。

「とにかく、寝なきゃ始まんないんだからさ」
「そうだな」

 二人はそれきり口をつぐんで夢路を辿ることのみを自分に課した。







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