短編U

□新年会の余興(P2)
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 青白い光が闇を照らし錬成陣が発動する。真剣なまなざしでそれを凝視するのは緑と黒、あわせて4つの瞳。
 秀麗な顔の下半分に錬成光をうけていたロイ・マスタングは、その中央に置かれた小さな塊がぶるりと小さく身体を震わせるのを見て不敵に笑った。
「さすがだな」
 一歩引いた場所から幾分心配気なまなざしで見守っていたマース・ヒューズは小さく口笛を吹く。
「まぁな、ざっとこんなもんだ」
 と、ロイが胸をはったとき。
「な、なんだ、この光は??」
 錬成陣のまんなかにおかれていた白い猫のぬいぐるみが声をあげた。
「おや、犬か猫あたりでよかったんだが、人の魂を呼び寄せてしまったようだな」
 自分が思っていた以上の術の効果に少し驚きながらもロイはソレを覗き込んだ。
「た、大佐ぁ? あれ? オレ、中央にいたのになんで? 大佐は出張かなんか?」
「君は……、鋼のか?」
「なに言ってやがんだ。みりゃわかるだろうがっ」
「いや、見てもわからと思うぞ。今、君は猫のぬいぐるみになっているからな」
「はぁ?!」
 ひょい、と猫のくびねっこを掴んでロイは壁にかかっている鏡の前につれていく。
「な、なんだっ?! これっ?! おい、どーゆーことだよっ! 説明しやがれっ」
 驚きわめくエドワードに頓着せず、ロイはひょい、と机に猫を放り出した。
「おぉい、ロイ、それはエリシアの大切なにゃんこさんだから手荒に扱うなよ」
 その声に初めてエドワードはここにロイ以外の人がいたことを知る。
「やっぱりヒューズ中佐も一枚かんでんのかよぉ」
「よぉ、エド。ちょっとばかり協力してくれねぇかな」



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