小
□Close your eyes.
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「そんなに睨まないでくれないか?」
苦笑まじりに告げてみてもその苛烈なまなざしが緩むことはない。
他意はない、ほんの戯れだったのだと、丸め込むことはさして難しいことではないが、そう言ってしまえば二度と彼は自分の言葉を、行動を信用しないだろう。
それでは困るのだ。
からかうように告げた愛の言葉に返されたその熾烈なまでの瞳に。
心臓が震えるほどに歓喜を覚えてしまったから。
その瞳に捉われていることを自覚してしまったから。
からかいを含ませた声音ではなく。
本気で口にすればよかったと今更ながらに後悔して。
だからもう一度。
かつてないほどに真剣に。真摯に。
「君が好きだよ」
抱きしめてキスをしたいと伝える。