小
□夜と月
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深夜の作戦。
夜陰に乗じてテロリストのアジトに踏み込む。そのタイミングをはかっていた時、不意に彼の言葉を思い出した。
「アンタって夜みたいだな」
「それなら君は昼だな」
その金色の髪と瞳と、まっすぐな生き方は太陽そのものだと。
確か私はその時そう返したと思う。
しかし、建物の上に浮かぶ満月に満たない月を見たとき、君の瞳そのものだと思った。
君に見られているなら無様なマネは出来ないなと思った。
ならば、一人残らずテロリストどもを捕まえて見せよう。心のうちで決意を固めた。
全てが終わった時は、すでに空は白んでいた。
帰って一眠りするか、と見上げた空に、白く褪せた月を見つけた。
月は夜にこそ輝き、その魅力を見せ付ける物なのだ。
ならば君の魅力が輝くのは私の元にあってこそだな。
なかなかしゃれた口説き文句だと一人ほくそ笑む。
次に顔を合わせた時にはこれを試してみよう。