未来捏造パラレル
□prologue
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クーデターが起きた。
長年この国のトップに立ち続けてきたキングブラッドレイ大総統が倒された。
クーデターを扇動し、大総統に手をかけた軍の高官たちは処断され、その機に乗じて議会は本来の発言権を取り戻した。
その際、軍内部の混乱が最小限で済むよう尽力したのは、あのロイ・マスタング大佐であった。
イシュヴァールの英雄は、いまやアメストリスの英雄と呼ばれている。
的確な事後処理を評価され准将に昇格した彼は、軍部再建の実質的な核として日夜仕事に励み、軍人からだけでなく民衆からもその手腕を期待されている。
以上が一般人が知る全て。
人によっては些少なエピソードが増えたりするが、このアウトラインからはずれることはない。
ブラッドレイ大総統の正体がホムンクルスだったとか、彼が何をしていたのかとか、何をしようとしていたのかとか、彼の命を絶ったのが本当は誰なのかとか。
そのあたりの事情を知るものは、本当にごく僅かにしか存在しない。
そして、そのどさくさに紛れるように鋼の錬金術師とその弟が、行方知らずになったことを知るものは更に少ない。