スキップ・ビート!

□条件はただ3つ。
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 その日、敦賀蓮は久し振りにオフだった。
 従って、マネージャーである社も必然的にオフだった。
 なんとも嬉しい偶然なことに、新鋭女優として売り出し中の恋人もオフだった。

 これはもうデートしかないだろう! 

 服装・髪形・眼鏡、オールOK! 持ち物チェック、忘れ物なし! 完璧だ!

 ということで、ついこの間、仕事仲間から教えてもらったばかりの穴場デートスポットにやってきたわけなのだが───


「モー子さーん!」

「え? あら、キョーコ」

「やっぱりモー子さん! こんなところで会えるなんて〜vvv」

「ちょっ、抱きつかないでよ恥ずかしいわね!」

 きゃいきゃいと華やかに女性陣が戯れている一方、男性陣は微妙な空気をかもし出していた。

「どうも……社さん」

「ああ、奇遇だな……蓮」

 それぞれのデート中に出くわす。
 偶然であってもどことなく恥ずかしい事態だが、今日に限っては偶然とは言い切れない。
 社がデートスポットを教わっているとき、蓮も隣にいたのだから。

「興味なさそうな顔して台本読んでたのに……ちゃっかり聞いてたんだな」

「社さんこそ……『春に出かけたら気持ち良さそうな感じですね』とか言っておきながら……今は秋ですよ?」

 お互い、別に責め合っているわけではない。気まずいだけである。

「キョーコちゃん、一緒に昼食を、とか言い出すぞ?」

 ため息を吐きつつ社が言えば、仕方がないとばかりに蓮が肩をすくめる。

「まあ、幸い今日は一日オフです。昼食後に何とか別行動に持ち込みましょう」

「……だな」

 彼女らの仲の良さはよぉく知っている。彼氏への愛情と比較しても、まったく遜色ないほど輝かしい友情である。

「はぁ……先が思いやられる……」

 社倖一。彼に仕事にオフはあっても、苦労人のオフはない。
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