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□mutual watch!後編
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「さて最上さん。……聞いてる?」

 悪気など欠片もないですと自己主張している笑みを顔に張り付かせ、蓮は首を傾げてキョーコを覗き込んだ。
 一方のキョーコは息も絶え絶えの、とにかく休息させてください、といった様子だ。

 車に乗せられて、あれよあれよと言う間にマンションに引き込まれた。
 わけが分からない。酸素が足りない。頭が未だにボンヤリとする。

「不本意ながらあまり時間がない。手早く手短に話を進めることにしよう」

「…………」

「まず、『恋なんかじゃない』とか言ったらしいけど、君は恋の何たるかが分かっているのかい?」

「んなッ!?」

 聞かされた言葉の衝撃に、キョーコの心肺機能は復活した。

 ショックだ。物凄くショックだ。
 未だに秘密だから口に出しては言わないが、ニワトリに恋愛の何たるかを説かれていたレベルの人間に、そんなことを言われるなんて!
 いや、ニワトリの中身が言うことじゃないけど。外から見れば充分過ぎるほど滑稽だったはず。

「君はね、俺のことが好きなんだよ。もちろん、男として」

「……何を根拠に」

 恋をしたことくらいある。
 だから言える。こんな感情じゃなかった。もっともっと純粋で、役に立ちたくて笑ってほしくて、そばにいてもいいよと思ってもらいたくて。
 こんなふうに苦しかったり、逃げ出したくなったり、絶対にしなかった。
 こんなふうに不安に駆られることなんて、絶対になかった。

 ───寂しいサミシイ寂しいサミシイ……

 こんなふうに、眠らせてるはずの“置いていかれる恐怖”を呼び覚ますことなんて、絶対にありえない。
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