スキップ・ビート!
□mutual watch!中編
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「……どういう顔ぶれなんですか、これ」
スタッフに「お客さんだよ」と呼び出されたのは、ドラマ収録現場でのこと。
ちょうど休憩時間に入ったところで、こんないいタイミングで来るなんて誰かしら、と思いながら、客が待っているという一室に向かい───
ドアを開けてみたらそこには、事務所の先輩俳優とそのマネージャーがいた。
「お客さんって、お二人のことですか……」
「あんまり驚いてないね? 俺が来るって分かってたのかな」
「分かってはいませんでしたけど、予想はしてました。キョーコと親しい自覚はありますから」
「俺と最上さんのことは知ってるんだね、やっぱり。話が早くて助かる」
「琴南さん、まあ座って。お邪魔してるこっちが言うのもおかしいけど」
「……失礼します」
衣装を埃で汚さないよう、パイプ椅子にハンカチを敷いてから座る。プロ意識を感じさせるその仕草に蓮の口許が緩んだ。
いい役者になるだろう。素直にそう思う。
「先に言っておきますけど、キョーコとのことなら力にはなれません。と言うか、なりません。申し訳ありませんけど、キョーコの味方ですから」
「うん知ってる。会わせるセッティングをしろとかスケジュール教えろとか、そんなことを言うつもりはないよ」
「……じゃあ、何を?」
「用件の一つ目は……社さん?」
「ああ。はい、琴南さん、これ社長から」
「? ……『フレッシュな才能特集』の取材日程? 何ですかこれ……」
「君に渡してくれって頼まれたんだ、社長から。な、蓮?」
「そうだよ。きっとその取材が君のところにも来るんだろう」
「……わざわざ、すみませんでした」
表情が硬くなったのは、ローリィの思惑がを読んだからだろう。
本来なら、こんな雑用で『敦賀蓮』が動くはずがないのだ。